アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎』は、「皮膚炎体質」という皮膚炎を起こしやすい体質的な素因を持った人に、 ダニやほこり、ストレスなどの「悪化させる要素」が加わることで起こります。 皮膚炎体質には「アレルギー体質」と「ドライスキン」の2つがあります。


●アレルギー体質

「アレルギー体質」とは、ダニや花粉などの異物が体内に入ったときに、 体の中でアレルギー反応のもとになる 「IgE抗体」という物質をつくりやすい体質のことです。 アレルギー体質が関係する病気は他にも、「喘息」「アレルギー性鼻炎」「食物アレルギー」などがあります。 アレルギー体質で、皮膚に症状が出やすい人はアトピー性皮膚炎となり、気管支に症状が出やすい人は喘息になることがあります。

なお、乳幼児期では、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーが同じものと思われがちなのですが、 これらは別の病気です。ただ、食物アレルギーが、アトピー性皮膚炎と同じ時期に現れることが多いために、 混同されやすいのです。食物アレルギーは成長するに従ってほとんどが完治します。 食物アレルギーであれば医師の指導の下、原因となる食物を除いた食事を摂る必要があります。 しかし、アトピー性皮膚炎の原因が食物ではないかと心配して、 むやみに食事制限することは子供の成長に悪影響を及ぼすことがあるので、避けてください。


●ドライスキン

皮膚の表面は「角層」で覆われています。さらに、角層の表面は「皮脂腺」から分泌された皮脂で覆われ、 体内の水分が失われるのを防いでいます。角層の細胞間は「角質細胞間物質(セラミド)」 という物質で満たされ、水分はここに保持されています。 それと同時に、角層は、さまざまな刺激から体を守る役目(バリア機能)を果たしています。 しかし、もともと皮脂の分泌量が少なく、セラミドも不足していると、皮膚は著しく乾燥した状態になります。 これが「ドライスキン」です。ドライスキンでは、角層が剥がれ落ちたり、細胞間に隙間ができたりして、 バリア機能が低下しています。すると、外からのさまざまな刺激を受け、アレルギーの原因となる物質を侵入させてしまいます。 こうしたことが、アトピー性皮膚炎を発症しやすい状況を作っているのです。


●アトピー性皮膚炎を悪化させる要素

アトピー性皮膚炎の方に最も多く見られる悪化要素には、「ストレス」があります。 成人の方に多く、受験や就職などのストレスで、再発したり悪化したりすることがあります。 さらに、乾燥や手で掻くことも症状を悪化させる要素です。皮膚は乾燥するとそれだけでかゆみを生じます。 かゆいとつい掻いてしまいますが、掻くと皮膚は傷つき、皮膚のバリア機能はさらに低下します。 そして、ちょっとした刺激で湿疹ができやすくなり、さらなるかゆみを引き起こすという悪循環が起こってしまうのです。

そのほか、汗をかいたままにしておくことも、症状を悪化させることになります。 また、「とびひ」などの皮膚の感染症を合併しやすくなります。 乳幼児期では食物アレルギーの合併が悪化要素となる人もいます。 ダニやほこりが悪化要素となることもあります。掃除や部屋の換気など、生活の中で悪化要素を減らす工夫をすることも治療に役立ちます。


●アトピー性皮膚炎の繰り返す症状をコントロールする

アトピー性皮膚炎の治療は、まず診断を受け、症状と重症度を把握するところから始まります。 治療では、「悪化要素」を見つけて、除去するための対策をとることと、 日頃の「スキンケア」で皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚のバリア機能を正常に保つこと、 そして、炎症を抑えるための「薬物療法」が行われます。

アトピー性皮膚炎を起こしやすい体質そのものを変えるのは難しいのが現状です。 そのため、アトピー性皮膚炎は、よくなったり、悪くなったりを繰り返します。 しかし、適切な治療によって、生活に支障がない程度にまで症状を改善することができます。 これらのことをよく理解して、病気と根気よく付き合いながら、症状をコントロールするコツを身につけることが 大切です。