【質問】メニエール病の難聴がよくなりません

昨年7月、激しいめまいが起こり、耳鼻咽喉科で点滴治療を受けました。 聞こえが悪くなり「メニエール病」と診断され、 大学病院のめまい外来を紹介してもらいました。9月から柴苓湯(さいれいとう)を飲んでいますが、 難聴がよくならず、今年1月にはプレドニンを1週間分処方されました。 現在、めまいは治まっていますが、右耳の聞こえが悪く、耳鳴りがあります。 難聴外来を受診したほうがよいでしょうか。
●63歳・女性


【答】

「メニエール病」は、耳の奥の内耳に内リンパ液が溜まること(内リンパ水腫)によって生じる病気です。 めまい発作を繰り返し、耳鳴り、耳が詰まった感じ、低音域が聞き取りづらいなどの感覚症状も、よくなったり悪くなったりするのを繰り返すのが特徴です。 めまい発作が長期にわたって継続すると聴力低下を来し、生活の質(QOL)が著しく損なわれることもあります。

強いめまいが起こる「急性期」は主としてめまい発作の軽減と随伴する吐き気、嘔吐などの症状の軽減を目的とした対症療法が行われます。 「7%炭酸水素ナトリウム」「抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)」「抗不安薬」「制吐剤」などが用いられます。 一方、強いめまいが現れない「寛解期(非発作時)」は、主として聴覚、前庭機能の回復、およびメニエール病の再発、進行の予防を目的とした治療が行われます。 「ベタヒスチンメシル酸塩」「ジフェニドール塩酸塩」「イブジラスト」「イフェンブロジル酒石酸塩」「アデノシン三リン酸」 「ナトリウム水和物」「ビタミンB12製剤」などが用いられます。 また、内リンパ腫の軽減を目的に「イソソルビド(浸透圧利尿薬)」が用いられることもあります。

ご質問者の場合は、めまいが治まっている寛解期の状態だと推測されます。 聴覚症状の改善が見られない場合は、薬の選択などについて担当医に相談されることをお勧めします。 また、メニエール病は古くより心身症の一種といわれ、 発症や再発には精神的・肉体的過労、睡眠不足、ストレスが深く関わっている可能性が指摘されています。 メニエール病の再発や進行を予防するには、休日に趣味やスポーツを楽しむなど、心身をリフレッシュして ストレスを解消する十分な睡眠時間を確保する、 ゆとりのある生活を心掛けるなど、生活習慣を改善することが効果的です。

(この答えは、2020年9月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)