蕁麻疹(じんましん)の治療

治療法の選択肢が増えてきている、蕁麻疹。早目に治療を開始することで、治りやすくなることが期待できます。


■軽症の場合や初期の蕁麻疹は市販薬で対処が可能

蕁麻疹が起こった場合、症状が比較的軽いものや、初期であれば、市販薬を使って対処することが可能です。 蕁麻疹の市販薬には、飲み薬と塗り薬があります。基本的には飲み薬を使いますが、、一度薬剤師に相談するとよいでしょう。 軽症で、皮膚のかゆみを一時的に和らげたいという場合は、塗り薬での対処も可能です。 ただし、市販の塗り薬には、蕁麻疹を根本的に治す作用はありません。 また、かゆみを速やかに抑えたいときは、氷や保冷剤などを使って、患部を冷やすのが効果的です。 実際、蕁麻疹のある患者さんの中には、蕁麻疹が起こったときに対処できるように、保冷剤を常に携帯している人もいます。 市販薬を1週間程度使っても改善しない場合は、薬が合っていなかったり、蕁麻疹の原因が他にある可能性が考えられるので、医療機関を受診するようにしましょう。


■蕁麻疹の治療

蕁麻疹は、症状がずっと出ているわけではないので、症状が治まってしまうと、医療機関を受診するのをためらいがちです。 しかし、蕁麻疹が頻繁に起こったり、それを長期間放置していると、重症化したり治りにくくなったりするため、早目に治療を開始することが重要です。 特に、「市販薬で対処しても症状が改善しない」「症状が重い」「ほとんど毎日のように症状が現れ、1週間以上続いている」 「症状が現れている時間がが長くなった」などの場合は、早めに皮膚科専門医や、蕁麻疹やアレルギーの専門外来のある医療機関、 あるいはかかりつけの内科や小児科などを受診することが勧められます。 症状が長引く場合や重症の場合、治療は蕁麻疹のタイプに応じて行われます。

◆原因が避けられる場合

蕁麻疹の原因を取り除いて、症状が起こらないようにします。例えば、食べ物によるアレルギーがある場合は、原因となる食べ物を避けるなどの対処をします。

◆原因が避けられない場合

汗などが原因で起こるコリン性蕁麻疹のように、原因を避けるのが難しい場合は、まず抗ヒスタミン薬を使います。

▼抗ヒスタミン薬による治療
抗ヒスタミン薬には、腫れやかゆみを起こす原因となるヒスタミンの働きを抑える作用があります。 原因を避けるのが難しいタイプ以外に、原因がはっきりわからないタイプの蕁麻疹(特発性の蕁麻疹)も、 抗ヒスタミン薬を使うことで、多くの場合、症状が改善することが期待できます。 抗ヒスタミン薬を使っても十分に症状をコントロールできない場合は、抗ヒスタミン薬の量を増やしたり、 別の薬に替えたりするなどの対処が検討されます。 また、症状が治まった場合も、自己判断で薬の服用を中止したりせず、処方された薬は飲み切るようにしてください。 途中で薬の服用を中止してしまうと、再発しやすくなります。 最近の抗ヒスタミン薬は、副作用が比較的少なくなっているので、長期間服用しても問題はないと考えられています。 抗ヒスタミン薬を継続して使用することで、蕁麻疹が起こりにくくなるとされています。 そのため、決められた用法や容量を守って服用を続けることで、再発しにくくなります。

▼オマリズマブによる治療
抗ヒスタミン薬による治療を行っても効果が現れなかった蕁麻疹に対して、効果が期待できるとされているのがオマリズマブという薬です。 この薬は、IgEが肥満細胞に結合するのを防いで肥満細胞が活性化しないようにするため、ヒスタミンが放出されにくくなり、 蕁麻疹が起こるのを抑えるとされています。 オマリズマブは、もともと喘息の治療薬として使われているものが、2017年から蕁麻疹の治療にも使えるようになりました。 副作用が現れる頻度は低く、心配はあまりないと考えられています。 「これまでの蕁麻疹治療で効果が不十分」「12歳以上」「原因不明の蕁麻疹」などの条件に当てはまる場合に、オマリズマブを用いることができます。 オマリズマブは注射薬で、医療機関で1ヵ月に1回、両肩に1本ずつ皮下注射し、健康保険が適用されます。

■適切な治療に繋がる「蕁麻疹日誌」

蕁麻疹の治療で受診するときには、必ずしも症状が出ているわけではありません。 そこで、より適切な治療に繋げるために有効なのが、日々の蕁麻疹の膨らみの数、かゆみの頻度、蕁麻疹の変化、気付いたこと、 医師に質問したいことなどを記録しておく「蕁麻疹日誌」です。 手持ちのノートや手帳などにこれらの事項を記録しておくとよいでしょう。 また、医療機関で入手できる場合もあります。


蕁麻疹を放置していると、治りにくくなったり、さらに悪化したりする恐れがあります。 また、蕁麻疹の症状が長引くと不安になりがちですが、医師の指示に従って、諦めずに根気よく治療を継続することが大切です。