腎臓癌

腎臓癌』は早期にはあまり症状が現れないため、進行してから見つかることが多い病気でした。 しかし、「超音波検査」や「CT検査」「MRI検査」といった画像検査の進歩により、早期に発見することもできるようになってきました。


■「腎臓癌」とは?

検査法の進歩や高齢化などの影響で増加の傾向にある

腎臓は、体の左右に1つずつあります。腰よりやや上に位置しており、体の表面からは深く、背骨の近くにあります。 大きさは握りこぶし程度です。腎臓は、血管の塊のような臓器で、血液をろ過して尿を作る働きがあります。 尿は「腎実質」という部分で作られ、「腎盂」に集められて、「尿管」に流れていきます。 それ以外にも、「ナトリウム」や「カルシウム」などの濃度を調節したり、ビタミンを活性化したりします。 また、血圧を調節する物質や、赤血球の産生を促す物質を分泌します。 このように、腎臓や全身の細胞の環境を保つ働きをしています。

いわゆる『腎臓癌』とは、腎実質にできる癌のことで、「腎癌」あるいは「腎細胞癌」ともいいます。 そのほか、腎臓の一部である腎盂に癌ができることもあります。 一般に腎臓癌は片側の腎臓にできることが多く、ゆっくり進行します。 進行すると、腎盂を破って肉眼でわかる血尿がでたり、皮膜を破って腎臓の外に広がったりします。 転移が最も多く見られるのは肺で、他にリンパ節や肝臓、骨にも転移します。 癌が下大静脈内へと進展していき、時には直接、心臓に達することもあります。 腎臓癌は、40歳代くらいから増え始め、60〜70歳代に最も多く発症するといわれています。 危険因子として、「喫煙」「肥満」「人工透析」などが挙げられています。

従来、腎臓癌は患者数が少ない癌の1つとされていました。しかし、厚生労働省の調査では、 腎臓癌は1990年代から急速に増えており、現在では「前立腺癌」や「膀胱癌」と同様に、 泌尿器の代表的な癌の1つになっています。増加の原因として、検査法が進歩して早期に発見できるようになったことや、 腎臓癌を発症する人が最も多い60〜70歳代の人が高齢化によって増えたことなどが考えられています。 腎臓癌を早期に発見できれば、腎臓を残す手術を受けられる可能性も高くなるので、 できるだけ早く見つけることが大切です。


■腎臓癌の症状

早期には症状はあまり現れず、進行すると血尿が出ることが多い

腎臓は体の表面から深いところにあり、厚い脂肪に包まれています。そのため、早期には症状がなかなか現れませんが、 進行すると血尿が出ることが多くなります。血尿は肉眼でわかる場合もありますが、見た目は異常がなくても、 顕微鏡で調べると血液が混じっていることがあります。 血尿以外にも、「背中やわき腹の痛み」や「わき腹のしこり」が現れたり、「発熱」「貧血」「体重減少」 といった全身症状が起こることがあります。また、赤血球が増えたり、「高血圧」や「高カルシウム血症」 を発症する場合もあります。 肺に転移すると、「せき」や「血痰」がでたり、骨に転移すると、「骨の痛み」が現れることがあります。 癌が下大静脈内に進展していくと、「下半身がむくむ」「皮膚に近い静脈が腫れる」といった症状が見られることがあり、 このような症状から、腎臓癌が見つかる場合もあります。
進行してから現れるこのような症状が出る前に、検査で発見することが重要です。


■腎臓癌の検査

尿検査で血尿が見つかれば、画像検査で詳しく調べる


●腎臓癌を発見するための検査

早期発見のきっかけになるのが「尿検査」です。健康診断などの尿検査で血尿が見つかった場合は、 「超音波検査」で腫瘍があるかどうかを調べます。超音波検査では、「プロープ」という 超音波を発信する小さな器具をお腹や背中に当て、反射してきた信号を画像に映し出します。 手軽に行える検査で、患者の体への負担もほとんどありません。腹部の超音波検査は、肝臓や胆のうなど、 さまざまな臓器を調べるのに利用されています。他の病気を調べているときに、腎臓にある腫瘍が見つかることも 少なくありません。 腎臓は「腫瘤」ができる頻度の高い臓器で、50歳以上の人では、約半数に腫瘤が見つかるといわれています。 腫瘤とは、良性、悪性を含めた”こぶ”のことで、最も多いのは「腎嚢胞」という水の袋のような腫瘤です。 超音波検査では、このような腫瘤も見つけることができ、その内容から嚢胞か腫瘍かを見分けることも可能です。 腎臓癌の診断には「CT(コンピュータ断層撮影)検査」や「MRI(磁気共鳴画像)検査」を行って、 より詳しく調べる必要があります。


●腎臓癌かどうかを診断するための検査

CT検査やMRI検査を行って、腎臓にある腫瘍が癌かどうかを調べます。 これらの検査では、癌の広がり具合なども同時にわかります。 CT検査では、エックス線で体を薄く輪切り状に連続して撮影します。 MRI検査では、磁力で体を横や縦に薄く切るように撮影します。 磁力の影響を受けるため、「ペースメーカー」などを含め、金属を体内に入れている人は原則として受けることができません。 腫瘍の状態に合わせて、CT検査とMRI検査の療法を行うこともあります。


●転移の有無を調べる検査

腎臓癌と診断されると、次に転移を調べる検査を行います。肺に転移することが最も多いので、 肺を調べる胸部CT検査や胸部エックス線検査を中心に行います。そのほか、肝臓のCT検査やMRI検査、 「骨シンチグラフィー」を行って、肝臓や骨などへの転移を調べることもあります。

●生検

一般に、癌が疑われる場合には、専用の針でその組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる「生検」を行って、 癌かどうかを最終的に診断する方法があります。乳癌や前立腺癌などでは、生検は診断を確定するために必須の検査ですが、 腎臓癌の場合は、生検を行わないのが一般的です。腎臓は血管が密集している臓器なので、 生検の針をさすことによって、他の臓器や周囲へ広がるリスクを高めてしまう可能性があるからです。 そのため、腎臓にある腫瘍が癌なのかどうか疑われた場合は、CT検査やMRI検査で腎臓を詳しく調べ、 良性か悪性かを判断していく方法が取られています。


■早期発見のために

40〜50歳以降の人は年に1度は尿検査を受ける

腎臓癌は、早期には自覚症状がほとんど現れないため、早期発見には、血尿の有無を定期的にチェックすることが大事です。 特に、40〜50歳代以降の人は、健康診断などで行われる尿検査を年に1度は受けるようにしてください。 腹部の超音波検査も、できるだけ受けましょう。