関節リウマチの薬物療法

「関節リウマチ」の治療は、主に薬物療法を中心に行われます。 薬物療法では、炎症を引き起こす「免疫の働き」を抑える「抗リウマチ薬」が中心に使われます。 抗リウマチ薬には、大きく分けて「免疫抑制薬」「生物学的製剤」があります。 最近では、新しい薬が使われるようになり、選択肢が増え、「寛解」が長年続き、薬物療法を終了するケースも増えています。


■免疫抑制薬

主に免疫の働きを抑える薬で、現在「メトトレキサート」が第一選択薬になっています。 関節リウマチは、免疫細胞が過剰に分裂・増加することで、関節の炎症や、滑膜細胞の増殖などが起こり、骨や軟骨の破壊から 関節破壊につながります。免疫細胞にはいくつか種類があります。そのうち、司令塔である「T細胞」の命令により、 炎症性サイトカインの「TNF・α」「IL・6」などがたくさん作られると、骨を壊す「破骨細胞」 が活性化し、病気が進行します。メトトレキサートは、免疫細胞が分裂するときに必要な「葉酸」の働きを抑え、 T細胞の増殖をコントロールしたり、滑膜細胞の増殖を抑えたりする薬です。


■生物学的製剤

生物学的製剤は、T細胞、TNF(腫瘍壊死因子)-α、 IL(インターフェロン)-6などの増殖を抑制する薬で、 2011年に「ゴリブマブ」が、2012年に「セルトリズマブ」が新たに承認され、 従来の「インフリキシマブ」「エタネルセプト」「アダリムマブ」「トシリズマブ」「アパタセプト」を含め、 薬は7種類に増えました。これらは、T細胞、TNF・a、IL・6などのうち、効果を発揮する対象(標的)が薬によって異なります。 剤形には、点滴と皮下注射があります。最近、厚生労働省により、点滴だけだったアパタセプトとトシリズマブに皮下注射が 承認されました。トシリズマブは、既に発売され、アパタセプトは、まもなく発売の予定です(2013年7月現在)。


一般名 用い方 使用間隔 その他
点滴 皮下注射
通院 自己注射
インフリキシマブ - - ・1回約2時間以上。
・1回目の点滴の後、2週間後に1回、さらに4週間後に1回、その後は4〜8週間に1回。
必ずメトキレートと併用する。
トシリズマブ ・点滴は、1回約1.5時間。
・点滴は4週間に1回。
・皮下注射は2週間に1回。
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アバタセブト - ・点滴は、1回約30分。
・点滴は、1回目の後、2週間後に1回、さらに2週間後に1回、その後は4週間に1回。
重篤な副作用や感染症の報告が少なく、特に安全性を重視するときに使うことがある。
エタネルセプト - 1週間に1〜2回。 -
アダリマブ - 2週間に1回 -
ゴリブマブ - - 4週間に1回 -
セルトリズマブ - 1回目の皮下注射の後、2〜4週間に1回。 -

■薬の選択

生物学的製剤はメトトレキサートの効果が十分でない場合に併用したり、メトトレキサートの副作用が強く現れた場合に 単独で使ったりします。7種類の中からどの薬を選択するかは、「何を標的にするか」以外に、点滴の場合に通院できるかどうか、 自己注射の管理ができるかどうかなど、患者さんの環境や状態、症状の程度、合併症などを見極めながら決めていきます。 また、妊娠中の女性、あるいは妊娠を希望している期間は、メトトレキサートが使えないので、副腎皮質ステロイドや 生物学的製剤を使用して治療を行います。今まではエタネルセプトを使うことが多かったのですが、 新しく登場したセルトリズマブは、胎盤を介して胎児に移行しないといわれているので、女性の患者さんの選択肢が増えました。

●薬の費用

免疫抑制薬、生物学的製剤共に健康保険が適用されます。費用は、生物学的製剤の場合、自己負担額が3割の人で、 年間およそ40〜60万円です。しかし、薬価は年々下がっているうえ、2015年くらいには後発品の生物学的製剤が発売され、 現在の約3割ぐらい下がるのではないかと期待されています。 また、今では関節リウマチを発症すると、一生薬を使い続けなければいけないと考えられていましたが、生物学的製剤の場合、 寛解が1〜2年続いた後に、使用をやめても寛解を維持できるケースが見られるようになりました。 発症後6〜10年の患者さんで2〜4割、早期の患者さんであれば5〜6割の人が該当するのではないかと考えられています。 その場合でも、生物学的製剤とメトトレキサートを併用していた患者さんは、メトトレキサートを使い続けます。 しかし、最近、メトトレキサートだけで5年ぐらい寛解が続き、使用をやめることができたケースが出てきています。

このように寛解が期待できるケースは、早期に治療を受けた場合に多く見られます。 薬物療法の効果を発揮しやすくするためにも、早期治療が大切です。