糖尿病の合併症を食い止める

糖尿病で特に怖いのは合併症です。糖尿病を放置していると、全身の血管が障害されて様々な合併症が現れます。 糖尿病と診断されたら、自覚症状がなくても油断せずに治療を続けて、合併症を抑えていくことが大切です。
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糖尿病の合併症を食い止める

■糖尿病の合併症

自覚症状がなくても進んでいる可能性がある

日本の糖尿病の患者数は約950万人で、予備軍を含めると2000万人を超すとみられています。 特に地方では、車を使うことが増えて以前ほど歩かなくなったため、糖尿病を起こす人が都市部以上に増えているといわれています。 これは、日本だけに限らず世界的な傾向です。 最近は、糖尿病の治療に前向きに取り組む人も増えていますが、今なお糖尿病のある人の約3割が、十分な治療を受けていないのが現状です。 人数にすると、300万人以上になります。糖尿病は、長い間自覚症状がほとんどありません。そのため、放置してしまう人が多いのです。 しかし、糖尿病はその間も徐々に進行していき、合併症の症状が現れてくるころには相当に悪化しています。

●合併症が起こる仕組み

糖尿病は、慢性的に血糖値が高い状態が続く病気です。血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことです。 ブドウ糖は全身に運ばれてエネルギーになりますが、細胞に十分に取り込まれず血液中に異常に増えた状態が糖尿病です。 血液中にブドウ糖が異常に増えた状態が続くと、全身の血管壁が傷つけられます。 その結果、さまざまな合併症が起こってきます。 主な合併症には、細い血管が障害されて起こる糖尿病網膜症糖尿病腎症糖尿病神経障害があります。 太い血管も障害されて動脈硬化が進むため、脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症なども起こりやすくなります。


■細い血管に起こる合併症

目や腎臓、足などに障害が起こる

糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害は糖尿病の三大合併症と呼ばれています。

▼糖尿病網膜症
眼球の奥にある網膜の細い血管が、障害されてもろくなる病気です。進行すると視力が低下して失明に至る場合があります。

▼糖尿病腎症
腎臓の働きが徐々に低下していく病気です。腎臓は細い血管がたくさん集まった臓器で、その血管が少しずつ障害されていきます。 ひどく悪化した場合、透析療法が必要になります。

▼糖尿病神経障害
末梢神経が障害される病気で、足の痺れや痛み、感覚麻痺などが起こります。 原因は、神経に酸素や栄養を送っている末梢血管の血流低下や、末梢神経そのものの障害です。 非常に悪化すると、脚を切断するなどの事態に陥ることもあります。

■太い血管に起こる合併症

脳や心臓などの血管で動脈硬化が進み、障害が起こる

動脈硬化とは、血液中に増えたコレステロールが血管壁に溜まってこぶ状に膨らみ、血流が悪くなる状態です。 糖尿病で血液中のブドウ糖が増えると、コレステロールを運ぶ「LDL」が酸化したり、ブドウ糖と結び付いたりします。 すると、血管壁にコレステロールが溜まりやすくなり、動脈硬化が進行していきます。 動脈硬化が進むと、血管壁にできたこぶ状のふくらみが破れ、血液の塊である「血栓」ができて血管が詰まります。 脳や脳の近くの血管で起こると、脳梗塞を発症します。 心臓を動かす冠動脈で起これば、心筋梗塞を発症します。 糖尿病がある場合は、ない場合に比べて脳梗塞は2倍、心筋梗塞や狭心症は2〜4倍起こりやすくなると考えられています。 一方、閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化が足などの血管に起こる病気です。 歩くとふくらはぎが痛んで歩けなくなり、休むと再び歩けるようになりますが、ひどくなると、歩行困難になる場合もあります。 閉塞性動脈硬化症に神経障害が加わると、足の切断につながることがあるので注意が必要です。


■合併症を抑えるには

食事の改善と適度な運動が治療の基本

細い血管の合併症は、多くの場合、糖尿病と診断されてから5年から15年で現れます。 糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症の順番で起こってくることが多いといわれていますが、かなり個人差があります。 また、糖尿病そのものが進行してから発見された場合は、合併症がすでに始まっていることがあります。 動脈効果は糖尿病予備軍の段階から始まっています。糖尿病と診断されていなくても血糖値が正常範囲より高いと、動脈硬化が進行します。 特に、食事をした後の血糖値が正常範囲を超えて急激に上がる食後高血糖では、動脈硬化が進みやすいことが確認されています。 糖尿病で特に恐ろしいのは合併症です。逆に、合併症を抑えることができれば、糖尿病のある人も、健康な人と変わらない生活を送ることができるのです。 合併症を防ぐためには、糖尿病を治療して血糖値を十分下げることが大切です。

●糖尿病の治療法

糖尿病は、肥満や運動不足などと深くかかわっています。糖尿病を改善するための基本となるのが、食事の改善と適度な運動です。 これらは糖尿病を治療するうえで最も重要なことです。食事の改善や適度な運動を続けていても、血糖値が下がらない場合は、 飲み薬やインスリンなどの注射薬が用いられます。合併症がすでに起こっている場合は、糖尿病の治療と併せて、 合併症に対する治療も受ける必要があります。