C型肝炎の治療

・「C型肝炎」の治療では、より適切な治療法の選択が重要になる。
・治療の選択に当たっては、まずウィルスの型や量を調べることが大切。
・必要に応じて体質と耐性ウィルスの有無についても調べ、効果的な治療法が選択される。

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■C型肝炎

肝癌へ進行する危険性が最も高い肝臓の病気

「C型肝炎」の原因となるC型肝炎ウィルスは、血液を介して感染します。以前は輸血や血液製剤などから感染が起こっていましたが、 1980年にC型肝炎ウィルスが発見されると、それらの感染経路に対する予防策が取られるようになり、 そうした感染は基本的になくなっています。しかし、違法薬物の注射器などを介する感染は現在もなくなっていません。
C型肝炎ウィルスに感染すると、「急性肝炎」が起こり、そのうち約7割が「慢性肝炎」に移行します。 慢性肝炎の状態を放っておくと、長い年月をかけて「肝硬変」や「肝癌」へと進行していきます。 日本人の肝癌はウィルス性肝炎を原因とするものが多く、その中でも最も多いのがC型肝炎です。 C型肝炎の治療は進歩しており、ウィルスを完全に排除できる場合が増えてきました。また、新薬の登場も期待されています。 しかし、改善すべき課題も残っています。 C型肝炎の治療では、「ウィルス直接阻害薬」という薬が使われることがありますが、人によっては効果が現れにくいことが わかってきました。それに気づかず服用を続けることで、副作用に悩まされたり、ウィルス直接阻害薬に対する耐性が できてしまうことがあるのです。こうした状態になると,たとえ新薬が登場しても、その効果が得られないことも考えられます。 このような状況を避けるためにも、より適切な治療法の選択が重要になると考えられてきているのです。



●C型肝炎の治療

まずはウィルスの型と量から治療法が選択される

C型肝炎の治療法を選択する場合、「ウィルスの型と量」「体質」「耐性ウィルス」が重要なポイントになります。 これらは、血液を採取し、遺伝子から調べられます。ウィルスの型と量、耐性ウィルスはウィルスの遺伝子から、 体質は患者さんの遺伝子から明らかになります。

◆ウィルスの型と量による治療の選択

日本人のC型肝炎ウィルスの型には主に「1b型」「2a型」「2b型」があります。このうち、2a型と2b型の場合、 1b型でもウィルス量が5logIU/mL未満の場合は、C型肝炎が治りやすいことがわかっています。 C型肝炎の患者さんの約40%が、このタイプに当てはまります。治りやすいタイプであれば、「ペグインターフェロン」「リバビリン」という薬の併用療法が行われます。治療期間は24週間です。 「インターフェロン」には、抗ウィルスタンパクや免疫の働きを活性化し、体内からウィルスを排除する作用があります。 現在は、従来のインターフェロンより作用時間の長いペグインターフェロンが使われており、週に1回注射します。 ペグインターフェロンは、インターフェロンに比べ、副作用が軽減され、治療期間も短くなります。 リバビリンは、ペグインターフェロンの作用を強める働きをします。1日に2回服用します。



●治りにくいタイプの場合には

インターフェロンが有効かどうかの判断が必要になる

C型肝炎の患者さんの約60%は、1b型でウィルス量が多く、治りにくいタイプとされます。 その場合は、インターフェロンが効きやすい体質かどうかを調べます。 その結果、インターフェロンが効きやすいと判定されたら、インターフェロンとリバビリンに、ウィルス直接阻害薬を併用する、 「3剤併用療法」が行われます。治療期間は24週間です。 ウィルス直接阻害薬は、C型肝炎ウィルスに直接作用する薬で、ウィルスの増殖を抑える働きをします。 3剤を併用することで、体からウィルスを排除する効果が高まります。

◆より効果の高い治療薬に期待

現在、3剤併用療法で使われるウィルス直接阻害薬として「シメブレビル」という薬が厚生労働省に承認申請されており、 2013年中に認可されると考えられます。シメブレビルは、従来の薬に比べて副作用が少なく、効果も優れています。 患者さんの年齢に関わらず、高い確率でウィルスを排除できると期待されています。



●インターフェロンが効かない場合

耐性ウィルスの有無から新薬を待つかどうかが検討される

インターフェロンが効きにくい体質と判定されたら、体内の耐性ウィルスの有無を調べます。耐性ウィルスとは薬が効かない ウィルスのことです。体内のC型肝炎ウィルスが、治療前や治療中に突然このようなウィルスに変異すると、 薬によって大部分のウィルスが排除されても、耐性ウィルスだけが残ります。これが増殖すると、薬物療法を行っても 全く効かない状態になります。日本人では、10%以上の人が治療前から耐性ウィルスを持っていることがわかっています。
検査の結果、耐性ウィルスがなければ、薬物療法でウィルスを排除できる可能性があります。 これまで、この状況で選択されてきた治療は3剤併用両方ですが、新薬の開発が進んでいるため、 新薬による新しい治療法の登場を待つという選択肢も出てきました。新しい治療法を待つ場合は、その間、肝臓の炎症を抑える 薬で進行を遅らせる「肝庇護療法」が行われます。耐性ウィルスがある場合は、3剤併用療法が行われます。
導入が期待される新しい治療法とは、「プロテアーゼ阻害薬」「NS5A阻害薬」を併用し、インターフェロンを 使用せずに治療しようというものです従来の治療では効果がなかった患者さんを対象とした研究でも、61〜91%の割合で ウィルスが排除されています。ただし、発癌リスクが高い患者さんは、新薬を待たず、3剤併用療法が選択されることもあります。 新薬を待つかどうかは、発癌リスクを含めて十分に検討されます。



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