パーキンソン病の治療

手足が震えたり、体がスムーズに動かせなくなったりする『パーキンソン病』には効果的な治療薬があります。 早期に発見して、薬による治療を適切に行えば、症状を改善しながら、日常生活を大きな支障なく送ることができます。

■治療開始のタイミング

早くから薬物療法を始めて、良好な状態を保つ

『パーキンソン病の治療』は、症状の改善を目的に行われます。 中心となるのは『薬物療法』で、ドーパミンの不足を補う薬を基本に、それを効率よく使うための薬や症状を軽減するための薬を必要に応じて加え、 生活の質を維持していくことを目指します。 かつてパーキンソン病は「発症したら数年で動けなくなって寝たきりになる」といわれていましたが、治療が進歩し、 現在では早期に発見して適切な治療を行うことで、多くの患者さんが10年、20年と、自立した生活を目指せるようになっています。


パーキンソン病の薬物療法では、以前は”症状が軽いうちは薬を使わない”という考えが主流でした。 なぜなら、パーキンソン病の治療薬には、病気の原因となる「ドーパミン神経の減少」自体を回復させる効果はないので、 ”根本的治療にならない薬を早期から使う利点はない”と考えられていたからです。 しかし近年では、パーキンソン病と診断されたら”症状が軽くても早めに薬物療法を開始すべき”という考えに変わってきました その根拠となるのが、パーキンソン病を発症して間もない人々を対象に薬の効果を調べた臨床試験です。 試験の結果、薬を使った人では当然症状が改善しましたが、薬を使わなかった人では症状が悪化しました。 さらに、40週間後に薬を中止し、体内に残った薬の効果が消えた2週間後に症状を調べたところ、どちらの群も症状は悪化したものの、 薬を使った群のほうがより軽い症状に抑えられました。このことから、早期に薬物療法を始めるべきだと考えられるようになったのです。 非常に軽いパーキンソン病の場合には、まずは運動療法から始めることもありますが、ほとんどの場合、診断がわかった時点で薬物療法を開始します。

病状が進行して、通常の薬物療法では症状のコントロールが不十分になった場合には、脳深部刺激療法(DBS)」と呼ばれる手術が行われることもあります。 この治療では、脳に細い電極を入れ、胸部に埋め込んだ刺激発生装置から電気刺激を送って神経細胞の動きを促します。 また、最近では、胃ろうを介して腸に細い管を送り込み、薬を注入する機器を使って、ドーパミンを持続的に補う治療が登場し、新たな選択肢となっています。 こうした治療と併せて、近年は、積極的にリハビリテーションを行うことが勧められています。 身体を動かして楽しく過ごすことは、症状の改善にもつながります。 なるべく早期から体を動かす習慣をつけることで、体力や運動機能を維持し、より長く元気に暮らせるようになります。


■手術による治療

症状のコントロールが難しい場合には、手術の検討も

L−ドパによるウェアリングオフや不随意運動が起こりやすい場合や、症状のコントロールが難しい場合には、「脳深部刺激療法(DBS)」という手術が検討されます。 手術が必要になる患者さんは、パーキンソン病の患者さん全体の10%以下です。 脳の深部にあるドーパミンに関係する部位に電極を埋め込み、胸には刺激装置を埋め込んで、それぞれをワイヤでつなぎ、 刺激装置から弱い電流を流して脳に刺激を与えることで運動機能を改善します。 手術後は、5年に1回程度、簡単な手術によって刺激装置の電池交換が必要になります。 この手術も薬物療法と同様、病気を根治する効果はないので、通常は手術後も薬を併用して症状をコントロールします。