癌発病の前触れ
背中の冷えは肺癌、立ちくらみは大腸癌など、癌発病をいち早く知らせる意外な前触れの部位別一覧です。
■癌発病のサイン
どんな癌にも必ず前触れが現れる
癌は早期発見さえできれば、決して恐ろしい病気ではありません。 初期の段階で治療を受ければ、恐い再発や転移の危険性がグンと低くなり、治癒する確立が格段に高くなるからです。 癌の早期発見のためには、定期的に検診を受けることが重要だとよく言われていますが、それだけでは不十分です。 癌は全身のあらゆる部位に静かに発生するため、検診だけに頼りきっていては見落とされかねません。
では、何が重要かといえば、自分の体に起こる些細な体調の変化を見逃さず、癌発病のサインをいち早く察知することです。 一般に、癌はある日突然、手遅れの状態で発見されるものだから、初期癌や早期癌に自覚症状はない、 と信じられているようですが、それは大きな誤解です。癌には必ず、前触れというべき初期症状が表れます。 そして、その前触れに気づくことが、癌を早期発見する、何よりも確かな手がかりになるのです。 実際に、癌になった患者さんの話しを聞くと、多くの人が「そういえば、あれが癌の始まりだったのかもしれない」 という前触れ症状に気づいています。自らが癌になった多くの医師も、やはり癌の前触れ症状があったことを 指摘しています。
●部位別の癌発病の前触れ
では、具体的にどんな体調の変化に注意すればいいのでしょうか。
まず、どの部位の癌にも共通して現れる前触れとしては「朝のだるさ」「食欲低下」「微熱」があります。
朝起きたときに感じた体のだるさが一日中続く場合や、体調は特に悪くないのに食欲が急に落ちた場合、
風邪を引いたわけでもないのに37℃ほどの微熱が続く場合は、癌を疑った方がいいでしょう。
また、部位別の癌でいえば、しゃっくりが頻発して、しかも長引く場合は肝臓癌が、
厚いものや冷たいものを飲み込むとのどがしみる場合は食道癌が、
また、あごの片側だけしびれる場合は乳癌が、それぞれ疑われます。
以下に、癌発病の前触れとしてよく現れる症状や意外な症状を部位別に紹介します。
◆多くの癌に共通
- ▼朝のだるさ
- 朝起きたときから、だるさを感じる。動き出すときにだるさを強く感じることもある。
- ▼食欲低下
- 好物だった食べ物や脂っこい料理が食べられなくなる。 特に、消化器癌の前触れとして現れやすい。
- ▼微熱
- 37℃前後の原因不明の微熱が続く。特に、肺癌や大腸癌、白血病などの前触れとして現れやすい。
◆胃癌
- ▼前触れ
- ・味の好みの変化(さっぱり・あっさりしたものを好むようになる)。
- ・食後に起こるみぞおちの鈍痛
- ・暴飲暴食をしないのに起こる吐き気や胸焼け。
- ・頻発するゲップ、胃液の逆流。
- ・慢性的な胸焼け、胃もたれ、胃の不快感、腹部の膨満感。
- ▼なりやすい人
- 萎縮性胃炎の人、ピロリ菌に感染している人、塩辛い食べ物を摂り過ぎる人。
◆肺癌
- ▼前触れ
- ・片方の腕だけに起こる、上腕内側の焼けるようなジンジンした痺れ。
- ・1ヶ月以上続く、コンコンという乾いた咳。
- ・白っぽい透明な痰、血が混じった痰。
- ・気温が高くても感じる、背中の冷え。
- ・太ったわけではないのに起こる、首の肥大やむくみ。
- ▼なりやすい人
- 喫煙者、男性、40歳以上、緑黄色野菜が不足している人、ストレスが多い人、 長期間にわたってアスベスト(石綿)にさらされた人。
◆乳癌
- ▼前触れ
- ・乳頭の陥没やただれ、かゆみ。
- ・乳頭から出る血のような分泌物(ブラジャーに黒っぽいシミが付く)。
- ・あごの片側にだけ起こる痺れ。
- ・乳房の中に触れる固くて小さなしこり(触っても痛みがない、硬くて境界がはっきりしない、 根を張ったようにどっしりとしたしこりのときは特に注意が必要)。
- ・乳房の表面に現れるへこみや赤み。
- ・わきの下に触れる腫れやしこり。
- ▼なりやすい人
- 独身者、出産経験のない人、高齢出産した人、初潮が11歳以下の人、閉経が55歳以上の人、 肥満の人、高コレステロール血症の人。
◆肝癌
- ▼前触れ
- ・長引くしゃっくり。
- ・手のひら全体に広がる赤み。
- ・腹部の膨満感。
- ・慢性肝炎の症状(みずおち周辺の不快感、食欲不振、体重減少など)
- ・長引く下痢。
- ・背中の右側に感じる痛み。
- ・胸や上腹部に見られるクモの巣のような模様の血管。
- ▼なりやすい人
- 60歳以上、男性、肝炎ウィルスに感染している人(1992年以前に輸血を受けた人、血液製剤を使用した人は 感染の危険性が大きい)
◆大腸癌
- ▼前触れ
- ・貧血(特に男性の貧血は大腸癌の可能性大)、貧血による立ちくらみ。
- ・便の周囲がうっすらと赤くなる血便、便の中に血が混じる血便(鮮血の場合は直腸癌、 黒っぽい場合は結腸癌が疑われる)。
- ・頻繁に繰り返す便秘と下痢。
- ・細い便、残便感、排便後にすぐ起こる便意。
- ・食欲不振、腹部の膨満感、下腹部痛。
- ▼なりやすい人
- 脂肪をよく摂る人、便秘がちな人、痔や大腸ポリープがある人。
◆子宮・卵巣癌
- ▼子宮体癌の前触れ
- ・おりものの量の増加。
- ・血やウミが混ざったおりもの。
- ▼子宮頸癌の前触れ
- ・性交後の痛みや出血、おりものの増加、不正出血。
- ▼卵巣癌の前触れ
- ・下腹部に触れるしこり
- ▼子宮体癌になりやすい人
- 性交経験の少ない人、出産経験のない人、肥満・糖尿病・月経異常のある人。
- ▼子宮頸癌になりやすい人
- 性交経験の多い人、出産経験の多い人。
- ▼卵巣癌なりやすい人
- 肥満や糖尿病のある人。
◆前立腺・膀胱・腎臓癌
- ▼前立腺癌の前触れ
- ・頻尿、排尿困難、残尿感、腰痛、足のむくみ。
- ▼膀胱癌の前触れ
- ・数日で消える、痛みを感じない血尿。
- ・頻尿、残尿感、下腹部の不快感。
- ▼腎臓癌の前触れ
- ・血尿
- ・わき腹のしこりや鈍い痛み。
- ▼なりやすい人
- 男性、60歳以上、喫煙者、ベンゼンや科学染料を日常的に使う人。
◆胆道癌
- ▼前触れ
- ・醤油のように濃い褐色の尿。
- ・白っぽい便。
- ・黄疸や食欲不振、体重減少、発熱、吐き気。
- ・右わき腹に感じる鈍い痛み。
- ・上腹部に触れるしこり。
- ▼なりやすい人
- 胆石・胆嚢腺腫・胆嚢炎を患う人(特に胆石のある人では、胆石のない人に比べて胆のうがんの発生率が10倍近い)、 肥満した人、脂肪分を多く摂る人、50歳以上。
◆膵臓癌
- ▼前触れ(初期の段階では、自覚症状のないことが多い)
- ・みずおちから左のわき腹にかけて感じる、突き抜けるような痛み。
- ・体重の著しい減少
- ・食欲不振(酒がまったく飲めなくなり、脂っこいものを嫌うようになる)。
- ・黄疸や急に起こる尿糖。
- ▼なりやすい人
- 糖尿病、慢性膵炎、膵石症を患う人、喫煙者、40歳以上、男性。
◆食道癌
- ▼前触れ
- ・酒や熱いもの、冷たいもの、酸味の強いものを飲み込むときに感じる、しみるような痛み。
- ・食べ物を飲み込むときに感じる、のどのつかえ(特に、硬いものやパサパサしたものを食べたときに感じやすい)。
- ・食べ物を飲み込むときに感じる痛み。
- ・頻繁に起こる食後の胸焼け。
- ▼なりやすい人
- 酒をよく飲む人、喫煙者、熱い食べ物や飲み物をよく摂る人。
◆喉頭・咽頭癌
- ▼喉頭癌の前触れ
- ・1ヶ月以上続く、原因不明の声のかすれ。
- ▼咽頭癌の前触れ
- ・片方の耳だけに起こる、耳が詰まった感じや耳鳴り、難聴。
- ・食べ物を飲み込んだときに感じる、のどの軽い痛み。
- ・原因不明の声のかすれ。
- ・鼻づまり、鼻をかんだときに出る血が混じった鼻汁。
- ▼なりやすい人
- 酒をよく飲む人、喫煙者、40歳以上、男性。
◆皮膚癌
- ▼前触れ
- ・足の裏にできるホクロ。
- ・ザラザラして盛り上がってくる、シミやソバカスのような赤い斑点。
- ・ホクロに似た黒紫色の盛り上がり。
- ・周囲に染み出すホクロ、濃淡のあるホクロ。
- ▼なりやすい人
- 日光を浴びる機会が多い人、色白の人。
◆甲状腺癌
- ▼前触れ
- ・首の前側に触れる石のような硬いしこり。
- ・原因不明の声のかすれ、しわがれ声。
- ・水やお茶を飲むときにむせる。
- ・食べ物を飲み込むときに感じる、のどのつかえ。
- ▼なりやすい人
- 成人する前に顔や首に放射線治療を受けた人、30歳以上、女性。
- 比較的若い時期(女性50最未満、男性40歳未満)にできる甲状腺癌は、性質がおとなしい場合が多く、 甲状腺癌全体の95%は命を脅かす危険はありません。
◆白血病・悪性リンパ腫
- ▼白血病の前触れ
- ・1週間以上の発熱、貧血、めまい、全身のだるさ、動悸、息切れ、軽く打っただけでできる青あざ、 生理のときの出血量の増加など。
- ▼悪性リンパ腫の前触れ
- ・1週間以上の発熱、貧血、首の付け根やわきの下などのしこり。
- ▼白血病になりやすい人
- 小児や高齢者(急性白血病は若い人に多発)。
- ▼悪性リンパ腫になりやすい人
- 50~60代の人。
◆脳腫瘍
- ▼前触れ
- ・1週間以上続く、起床直後の頭重や頭痛、吐き気。
- ・視野の欠け、視力の急激な低下。
- ・耳鳴りや難聴。
- ・体の片側だけに起こる麻痺や筋力低下。
- ・20歳を過ぎてから起こる痙攣発作。
- ・酔ったような歩き方。
- ▼なりやすい人
- 小児から高齢者までのあらゆる年代の男女。