高血圧症の治療と改善

高血圧と判定されればすべての人が治療の対象となりますが、 リスクの高い人ほど速やかに血圧を下げる必要があります。 まずは、診察室血圧で140/90㎜Hg、家庭血圧で135/85㎜Hg未満に下げることが目標になりますが、 若い人では、130/85mmHg未満を、糖尿病や腎障害などがあれば130/80mmHg未満を目標にします。 高血圧の改善では、生活習慣に原因がある場合の高血圧で最も効果的と言われているのが「肥満解消」だと言われています。 そのためには、「食生活改善」と「運動不足解消」が大切です。



■血圧のコントロール

生活習慣の改善と薬物療法で血圧を下げる

高血圧の治療法には、生活習慣の改善と薬物療法があります。 一般に、軽症高血圧や合併症を伴っていない場合は、まず、生活習慣の改善を試みるのが原則で、食生活の改善と運動が中心となります。

  • 食塩摂取制限(減塩)
  • 野菜、果物の積極的摂取
  • コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
  • 適正体重の維持(肥満があれば減量)
  • 運動療法
  • アルコール摂取制限(節酒)
  • 禁煙

などがポイントになります。 こうした生活習慣の改善を一定期間試みても降圧目標に達しない場合は、薬物療法(降圧薬治療)を始めます。 薬を使い始めても、生活習慣の修正は続けることが大切です。 血圧を高いまま放置すると、 やがて動脈硬化が進み、脳、心臓、腎臓などに合併症が起こり、 脳卒中心筋梗塞腎障害 などの重大な病気を招く危険が高くなります。それを防ぐためには血圧のコントロールが不可欠です。

●高血圧と肥満

過食や脂質の摂り過ぎによる「肥満」が、 高血圧の要因の中で特に重要であると考えられています。 特に「内臓肥満」「メタボリックシンドーム」の要因にもなり、要注意です。 「肥満」は主に「食べ過ぎ」と「運動不足」が原因であることが多く、 こうした生活習慣に原因がある場合の高血圧では、「食生活改善」と「運動不足解消」による 「肥満解消」が、血圧の改善に最も効果的であると言われています。



■食事療法

食塩の摂り過ぎや食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎといった生活習慣を改善するだけでも、血圧を下げることができます。

●食生活改善【減量】

「肥満」の人はまず「食事の量を減らす」必要があります。 ただし、無理な食事制限をして短期間に減量しようとすると健康を害してしまうので、 無理なく体重を減らすには、1日200kcal程度を目安に食事を減らし、徐々に減量するとよいでしょう。 また、揚げ物など油っこいものは控えるようにし、野菜を摂るようにしましょう。 肉の脂身やバターなどの動物性脂肪、スナック菓子などは控え、調理に使う油も控えめに。 高血圧対策という観点からいえば、3kgの減量で血圧は約5mmHg下がると言われています。

【関連項目】:『体重管理で血圧を下げる』

●食生活改善【減塩】

食生活の見直しでは、「減塩」は必須です。 肥満の人は食事の量が多いので、自然と塩分の摂取量も多くなります。 特に和食では白米のおかずとして塩辛いものが多くなりがちなので塩分の摂取量が増えてしまいます。 成人の1日の塩分摂取量は通常は、男性10g未満、女性8g未満が目標とされていますが、 高血圧症の方は、1日6g未満が推奨されています。 実際の食生活上では、胡椒・わさび・唐辛子などの香辛料や酢を上手に使用することによって、 素材の味を生かし、減塩薄味でも美味しく食べることのできる料理を作る工夫をしましょう。

【関連項目】:『藻塩』 / 『減塩調味料』 / 『家庭用電子塩分計』

●その他

野菜や果物など、カリウムを多く含む食品を積極的に摂り、 コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪は控えめにします。 また、お酒を飲みすぎないこと禁煙も大切です。