不整脈③治療の必要な不整脈

突然死や脳梗塞などを招く可能性があれば、すぐに治療が必要です。


■治療の必要な不整脈

突然死や脳梗塞、心不全につながる不整脈が見つかったときは、的確な治療が必要です。 以前は、心房細動、心房粗動、心房頻拍などの一部は、”特に治療の必要がない”と判断されていたこともありましたが、 最近は、より積極的に治療が行なわれるようになってきています。 また、突然死や脳梗塞、心不全を招かないとされている不整脈でも、 不整脈の元になった重大な心臓の病気(基礎心疾患)の有無によって、 治療が必要かどうかが決められます。つまり、同じ種類の不整脈でも、基礎心疾患がある場合は 治療が必要な不整脈とされ、基礎心疾患がない場合は心配のない不整脈と判断されることがあるわけです。 不整脈を招く基礎心疾患には、心筋梗塞や心筋症などが上げられます。 基礎心疾患を伴う不整脈では、もととなった病気の治療とともに、不整脈の治療を行ないます。

▼突然死を招く不整脈
心室細動、心室頻拍、高度房室ブロック、高度の洞不全症候群など

▼脳梗塞の原因となる不整脈
心房細動、心房粗動、心房頻拍、上室性頻拍など

▼心不全を誘発する不整脈
心房細動、心房粗動、心房頻拍、上室性頻拍など

▼基礎疾患(心筋梗塞・心筋症など)が元になって起こる不整脈


■治療の必要な不整脈

▼期外収縮
基礎心疾患があって積極的な治療が必要と判断された場合には、薬物療法のほか、異常な電気信号の原因を 高周波電流で焼き切るカテーテルアブレーションを行なうことがあります。 心室頻拍や心室細動を伴う場合には、自動的に電気ショックを与えて頻脈性の拍動を正常な拍動に戻す 「植込み型除細動器」による治療を検討します。基礎疾患がなく、生活習慣を改善しても自覚症状が強い場合は、 一時的に「抗不安薬」や「睡眠薬」あるいは「抗不整脈薬」を用いることもあります。

▼右脚ブロック
左脚の一部にも障害がある場合や、進行性の基礎疾患がある場合は、不整脈の悪化や心不全を防ぐことを目的に、 人工的な電気刺激を与えて拍動を正常に保つための「ペースメーカー」を植え込むことがあります。

▼第1度・第2度房室ブロック
心筋梗塞など明らかな原因があり、高度房室ブロックへの進行が懸念される場合は、 一時的にペースメーカーで治療を行なうことがあります。

▼洞性徐脈
洞結節の機能が低下する「洞不全症候群」で症状が強い場合は、ペースメーカーを植え込みます。

【関連項目】:『不整脈の治療』


■特に心配のない不整脈

基本的に基礎心疾患がなくて心臓の機能が正常であれば、次にあげるような不整脈は、 場合によっては治療が必要なこともありますが、一般的には心配のないものとされています。

●脈が抜けたように感じる「期外収縮」

「期外収縮」とは、瞬間的に心臓の拍動が通常より早いタイミングで起こる不整脈です。 拍動のタイミングが早くなると、心臓から出て行く血液が少なくなるので、一瞬胸がうっと詰まるように感じたり、 脈拍が抜けた(飛んだ)ように感じることもあります。ただし、次の拍動で正常な状態の戻るので、 自覚症状がないことも多いようです。

期外収縮は、睡眠不足や過労、ストレスなどにより、 「交感神経」の緊張が過度に高まったときに起こりやすく、健康な人でもよく見られる不整脈です。 他に心臓の異常がなければ、期外収縮の回数がある程度多くても、重篤な不整脈につながらないことがわかっています。 「睡眠を十分にとる」「禁煙する」「お酒を飲みすぎない」など、生活習慣を改善すると、多くの場合、 期外収縮は現れなくなります。ただし、高齢者に起こる「上室性期外収縮」は、心房細動を招くことがあるので、 超音波を使った「心エコー検査」や、心電図を24時間記録する「ホルター心電図検査」を受け、 心房細動を起こしていないかどうかを確認した方がよいでしょう。

●自覚症状がない「右脚ブロック」

心臓に巡らされた刺激伝導系のうち「右脚」が障害され、電気信号が途切れた状態が、「右脚ブロック」です。 加齢や先天的な原因などで起こり、自覚症状がありません。健康診断などで心電図検査を行なうと、しばしば見られるものです。 右脚で電気信号が途切れても、途切れた先の部分には、刺激伝導系の左脚から電気信号が回ります。 左右の収縮に若干の時間差は生じますが、心臓は問題なく収縮するため、基礎疾患がなければ心配はないでしょう。


●房室結節での伝導が障害される「第1度・第2度房室ブロック」

心房から心室への電気信号が伝わっていくときの時間が通常よりも長くなるのが「第1度・第2度房室ブロック」です。 また、通常の第2度房室ブロックでは、電気信号が心房から心室へ伝わる時間が徐々に延び、 時々心室へ伝わらなくなってしまうのが、次の拍動で正常な状態に戻ります。 第1度房室ブロックは自覚症状がありませんが、第2度房室ブロックは拍動が途切れたときに、胸が詰まったり、 ドキッとしたりすることがあります。

電気信号が心房から心室へ伝わる際に経由するのが「房室結節」です。 房室結節は、自律神経の影響を非常に強く受けており、中でも自律神経の1つである副交感神経の「迷走神経」 が多く分布しています。迷走神経の緊張が高まると、心室への電気振動の伝導が抑えられるため、 伝導時間が長くなります。迷走神経の緊張が高まるのは、睡眠中などリラックスした状態のときで、 第1房室ブロックは、健康な人でも夜寝ているときにしばしば見られる現象です。また、加齢の影響で起こったり、 刺激伝導系が十分に発達していない子供にもよく見られます。

一般に、第2度までの房室ブロックであれば、 心配のない不整脈であるといえます。ただし、第2度房室ブロックの中でも、心房から心室へ伝わる電気信号がいきなり途絶え、 心停止の状態になってしまう恐れがあるものは治療が必要です。

●心拍数が非常に少ない「洞性徐脈」

「洞性徐脈」とは、洞結節から出る電気信号のリズムがゆっくりになった状態です。 軽度であれば自覚症状はほとんどありませんが、 拍動が「1分間当たり40回」を下回るようになると、「めまい」や「疲れやすさ」といった症状が現れます。 リラックスすると、迷走神経が優位に働くため、拍動は遅くなります。洞性徐脈は、拍動がゆっくりになりすぎた状態で、 健康な人でも寝ている間などに起こりうる不整脈です。また、高血圧の薬として広く使われている「β遮断薬」は、 副作用としてしばしば洞性徐脈を引き起こしますが、生活に支障がなければ問題はありません。 ただし、β遮断薬の服用中にだるさなどの症状があれば、洞性徐脈などの不整脈が起こっていることも考えられます。 一度ホルター心電図検査を受け、症状が不整脈によるもののようなら、担当医と相談しましょう。 薬の副作用として不整脈が現れることもあるので、自分がどんな薬を使っているかを知ることも大切です。

●心拍数が非常に少ない「洞性徐脈」

「洞性徐脈」とは、洞結節から出る電気信号のリズムがゆっくりになった状態です。 軽度であれば自覚症状はほとんどありませんが、 拍動が「1分間当たり40回」を下回るようになると、「めまい」や「疲れやすさ」といった症状が現れます。 リラックスすると、迷走神経が優位に働くため、拍動は遅くなります。洞性徐脈は、拍動がゆっくりになりすぎた状態で、 健康な人でも寝ている間などに起こりうる不整脈です。また、高血圧の薬として広く使われている「β遮断薬」は、 副作用としてしばしば洞性徐脈を引き起こしますが、生活に支障がなければ問題はありません。 ただし、β遮断薬の服用中にだるさなどの症状があれば、洞性徐脈などの不整脈が起こっていることも考えられます。 一度ホルター心電図検査を受け、症状が不整脈によるもののようなら、担当医と相談しましょう。 薬の副作用として不整脈が現れることもあるので、自分がどんな薬を使っているかを知ることも大切です。