血管収縮タイプと血液量過剰タイプ

血管の収縮や血液量から大きく2つに分けられる

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の壁(血管壁)に与える圧力のことです。 血圧が常に高くなっている状態を高血圧といいます。 高血圧の基準値は、医療機関で測る場合は「収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上」です。 家庭で測る場合は「収縮期血圧が135mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上」です。 いずれの場合も、収縮期血圧と拡張期血圧のどちらか一方でも基準値に当てはまれば、高血圧と診断されます。
高血圧は血管の状態によって血管収縮タイプ」と「血液量過剰タイプに分けられます。 ストレスや塩分過多など、タイプによって高血圧の要因は異なります。 血液検査などを受けて自分のタイプを知ることが大切です。

▼血管収縮タイプ
血管が収縮することで血圧が高くなるタイプです。例えば、ホースから水がちょろちょろと出ているときでも、 ホースをギューっと握り締めると、ホース内にかかる圧力が高まり、水の勢いも強くなります。 血管収縮タイプではこのようなことが血管で起こり、血圧が高くなっています。

▼血液量過剰タイプ
血管内を流れる血液の量が増えることで血圧が高くなるタイプです。 ホースをつないだ蛇口を大きく開くと、流れる水が増えて、ホースにかかる圧力が高まります。 血流量過剰タイプではこのようなことが血管で起こり、血圧が高くなっています。

どちらのタイプでも、血圧が高くなることは同じです。血圧が高い状態が長く続くと、血管壁が厚く、硬くなる 「動脈硬化」が生じます。そして、動脈硬化は、血圧をさらに高めてしまいます。 この2つは悪循環の関係にあるのです。


●血圧を調節する仕組み

人間の体には、血液中の塩分濃度を一定に保つ仕組みがあります。 塩分を摂取すると、塩分濃度の上昇を防ぐために水分の吸収が高まり、血液量が増えて一時的に血圧が上がります。 しかし、普通はすぐに腎臓が働き、余分な塩分と水分を尿として排泄するため、血液量は元の状態に戻り、血圧は下がります。 また、脱水などで体内の水分が少なくなり、血液量が減少して血圧が過剰に下がりそうなときには、血管がギューっと 収縮することで、血圧を上昇させます。
このような血圧の調節機能に異常が生じ、血液量が増えた状態や、血管が収縮した状態が続いたりすると、 血圧が高いままになってしまいます。


■高血圧の要因

血管収縮タイプはストレス、血液量過剰タイプは加齢や塩分など

血管収縮タイプにも、血液量過剰タイプにも、それぞれ起こりやすい要因があります。

●血管収縮タイプの場合

「神経質な性格」「ストレス」が要因となります。 これには、体を守るための「交感神経」の働きが関係しています。 神経質な人は、ふだんから気になることが多く、脳はそれをストレスと受け止めます。 すると、意志とは関係なく交感神経が活発になり、「ノルアドレナリン」というホルモンが分泌されます。 ノルアドレナリンには血管を収縮させる作用がるため、血圧が高くなります。 交感神経が腎臓に作用すると、腎臓から「レニン」という酵素が分泌されます。 レニンには血管を収縮させる「アンジオテンシン」というホルモンを作る働きがあり、これも血圧を上昇させます。


●血液量過剰タイプの場合

「塩分」「高齢」「体質」などが要因となります。塩分は体内の血液量を増やしてしまい、血圧を上昇させます。 高齢になると、多くの人で腎臓の働きが低下します。また、高血圧がある家族がいる場合は、 もともと腎臓の働きが低下しやすいなど、高血圧につながる体質がある可能性が高くなります。 血液量は、体内の余分な塩分と水分を腎臓からどれだけうまく尿として排泄できるかで決まります。 そのため、塩分の摂取量や腎臓の働きが関係してくるのです。