突然死のメカニズム

動脈硬化の一種である粥状硬化(アテローム)があると、血管壁は盛り上がり、柔らかく、破れやすい状態になります。 すると、少しの血圧上昇で血管に負荷がかかるだけで、血管壁の一部に傷ができてしまいます。 そして、傷ついた血管壁を直そうと血小板が集まってきて、これがどんどん集まり、塊になって血栓ができます。 こうなると血液の流れが止まってしまい、心臓の血管に血栓ができた場合には、心筋梗塞になってしまいます。



■危険が迫るのは寒い冬の朝

誰もが血圧が上がりやすい朝。早朝高血圧の人の場合は、急激な血圧の上昇が引き金となって、脳卒中や心筋梗塞、狭心症など いわゆる心血管疾患の発作に突然襲われることが多く、そのリスクは正常な人の5倍以上とも言われています。 さらに、心筋梗塞は起床後1時間以内、脳卒中は起床後2時間以内に多く多発しています。 特に注意が必要なのは「寒い冬の朝」です。暖かい部屋や布団の中からパジャマなどの薄着のまま、 冷え切った玄関先まで出るなど、何気ない行動や普段の習慣に潜んでいる「寒暖差」が危ないのです。

●冬の朝は正常な人でも高め、高血圧だとリスクが増える

寒い環境にさらされると、人間の体は体温を保持して、体外に熱を放散させないようにするために体の表面近くの血管が収縮します。 その結果、血圧が上昇することになります。そのため、血圧が正常な人でも、寒い冬場は血圧が高めになります。 もともと高血圧の人はなおさらその傾向が強く、さらに、血圧調整機能が衰えているため、 温度変化によって血圧がより急激に変動しやすくなるのです。
血圧が上がると、血管に負荷がかかります。この時、血管壁に動脈硬化の一種「粥状硬化(アテローム)」があると危険です。 粥状硬化とは、血管壁の内側に脂肪(コレステロール)が溜り、血管壁が柔らかくなり、破れやすなった状態をいいます。 高血圧に負荷がかかると、一部に傷ができることがあり、これを修復するために血小板が集まって血栓ができます。 血流の流れが止まってしまうため、心臓の血管でこのような状態が起こると、心筋梗塞を招いてしまいます。 粥状老化は30代にはでき始め、60歳以上のほとんどの人にあると考えられているので、誰にでもリスクがあると言えます。


■豆知識

広島県医師会では、天気予報をもとに心筋梗塞や脳卒中の注意報を発表しました。 心筋梗塞で病院に搬送される患者は、1日の平均気温が6℃未満、平均気圧が1013ヘクトパスカル未満だと4割ほど増え、 脳卒中では平均気温が9℃未満だと2割程度増えるというデータに基づいています。 地域ごとに寒さに対する順応性が異なり、どこでもこの基準値が当てはまるとは言えませんが、 地域に関係なく気温が下がるほど多発する傾向にあります。