レビー小体型認知症の介護

介護の負担を軽減するためにも、家族が変化に早く気付くことが大切

レビー小体型認知症の介護では、介護の負担を軽減するためにも、家族が変化に早く気付くことが大切です。 患者の言うことを頭から否定しない、パーキンソン症状では転倒に注意する、 症状の変動に対する認識を持ち根気よく治療を続ける、などに配慮しましょう。


患者の言うことを頭から否定しない

レビー小体型認知症の患者は、幻視に影響されて、問題となる行動を起こしがちです。 特に、初期は精神症状がよく現れるため、介護する家族は大変です。 そのような患者とうまく付き合っていくには、患者の気持ちをよく理解して対応することが大切です。 例えば、幻視があり”そこに人がいる”といわれたら”そんな人はいない”と否定したくなりますが、 それで患者が納得することはありませんし、患者の状態がよくなるわけでもありません。 頭ごなしに否定するよりも、患者の立場に立って話を聞いてあげるとよいでしょう。 その方が、患者は落ち着きます。否定せずに話をしていると、自分にしか見えていないことに、 患者自身が気付くこともあります。レビー小体症では、そうやって患者が幻視の症状を自覚することもよくあります。


■パーキンソン症状では転倒に注意

レビー小体型認知症では、幻視や記憶障害よりも先に、パーキンソン症状が現れることがあります。 手足が動かしにくくなるため、転倒の危険性が増します。介護をする家族は、 「屋内の段差をなくす」「動きやすい服や履物を用意する」などの工夫をして、転倒予防を心掛けましょう。


■症状の変動に対する認識を持ち、根気よく治療を続ける

症状が日によって大きく変動するのもレビー小体型認知症の特徴です。 この症状の変動は、特に認知機能に顕著です。 例えば、あるときは受け答えがしっかりしていて、認知症とは思えないような状態なのに、 翌日には何を聞いても要領を得ない、ということもあります。 症状が変動することを知らずにいると、介護する家族は患者の症状に振り回されて、疲れきってしまいます。 症状に対する正しい認識を持ち、その変動に一喜一憂しないことが大切です。

幻視などの精神症状やそれに伴う行動異常は、きちんと治療すればある程度進行を抑えることができます。 他の認知症に比べ、レビー小体型認知症は適切な治療で大きな効果が得られます。 特に、幻視や暴力などの問題となる行動は、著しく改善することがあります。 そうなれば、介護はずっと楽になるはずです。 ”認知症は治せない”とあきらめる人も多いのですが、必ずしもそうではありません。 レビー小体型認知症に限らず、認知症はあせらず、根気よく治療に取り組みましょう。