認知症の治療

原因となる病気によっては、その病気の治療をきちんと受けることで認知症が治ることもあります。 しかし、アルツハイマー病や血管性認知症、レビー小体型認知症など、認知症の大部分を占める病気に関しては、 残念ながら、根本的に治す方法はないのが現状です。そのため、認知症の治療では、基本的に、適切な介護や リハビリテーションを行ったり、必要な場合は薬を用いたりすることが中心になります。 これらにより、認知機能の低下を少しでも遅らせたり、認知機能障害があってもできるだけ快適な生活を送れるようにすることが、 治療の目的です。ただし血管性認知症の場合は、脳卒中の再発を予防して、認知症が伸展するのを防ぐことが 治療の重要な目的になります。


■認知症の治療の一般的治療

検査の結果、「アルツハイマー病」「脳血管性認知症」などの診断を受けると、それぞれに適した治療が行われます。 認知症の治療には「薬物療法」「生活習慣病対策」「介護」などがあります。 アルツハイマー病の場合には、進行を遅らせる薬が使われ、脳血管性認知症の場合には、必要な薬の使用と共に、「生活習慣病を放置しない」ことが大切です。


■生活習慣病対策

「脳血管性認知症」の場合は、脳血管障害を予防するため、「生活習慣病の治療」も行います。 最近、「メタボリックシンドローム」が注目されています。 メタボリックシンドロームは、「肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症」など、複数の生活習慣病を併せ持つ状態のことです。 1つの病気の程度はさほど重くなくても、複数が重なると「動脈硬化」が非常に促進されることがわかっています。 動脈硬化は、血管壁にコレステロールが溜まり、内腔が狭まって血流が悪くなる病気で、 認知症を起こしたり悪化させる脳梗塞が起こりやすくなります。 そこで、高血圧なら降圧薬を使用して血圧を下げるなど、積極的に生活習慣病の治療を行うことが重要です。

また、「生活習慣病の治療」では、文字通り生活習慣の改善も大切で、
・栄養バランスのよい食事を心がけ、エネルギーの摂りすぎに注意する、
・適度の運動を行う
・規則正しい生活や十分な睡眠で疲れを溜めないようにする
といったことが必要です。

生活習慣病の改善は、脳血管性認知症の予防に重要とされていますが、 アルツハイマー病の予防にもつながることがわかってきています。 最近のさまざまな研究では、動脈硬化、糖尿病、運動不足によって、アルツハイマー病の危険性が高まると報告されたり、 高血圧の場合、降圧薬で治療するとアルツハイマー病発症の危険性が低下することがわかってきています。

【関連サイト】
『高血圧症』
『高血糖症・糖尿病』
『高脂血症・脂質異常症』
『高脂肪症【肥満症・メタボリックシンドローム】』

■認知症の介護

認知症患者は、物忘れがひどくなったり、以前できたことができなくなるなど、不安な気持ちで生活していることがあります。 介護する人の対応の仕方によって、気持ちが安定したり、逆に不安定になって症状に影響することもあるので、 患者の気持ちを落ち着かせるように対応する必要があります。 また、服薬に関しては患者任せにしておくと、飲み忘れや重複して飲むおそれがあるので、 介護する人が服薬を管理する必要も出てきます。 介護をする家族が、病気や患者の気持ちを理解し、患者と一緒に治療に取り組むことが大切です。


■関連項目