認知症患者の介護

認知症」の治療は長期にわたることが多く、 「介護」をする人の負担も大きくなりがちです。 介護をする家族の健康を守るためには、心身の疲労を溜め込まないことが大切です。


認知症患者は、一般的に、さまざまな問題行動をとる場合が少なくありません。 比較的多いのが「お金を盗まれた」「食事を食べさせてもらえない」「部屋の隅に誰かがいる」などの「妄想や幻覚」です。 また、「徘徊や失禁、夜間不穏、昼夜逆転」などもよく起こります。 このような問題行動があると、介護をする家族の負担は重くなり、なかには心身疲労から家族が倒れてしまうケースもあります。 介護を続けるためには、無理をしないことが大切です。そのためにはまず、 「病気を理解する」「生活環境への配慮」「介護サービスの利用」などを心掛けましょう。

「認知症」の治療は長期にわたることが多く、「介護」をする人の負担も大きくなりがちです。 介護をする家族の健康を守るためには、心身の疲労を溜め込まないことが大切です。 「一人で抱え込まない」ことで、介護とうまく付き合っていきましょう。


■病気を理解する

介護をする家族にとって大切なことは、まず、認知症についての正しい知識を持つことです。 例えば、認知症患者は、記憶障害から自分の行動が記憶に残っておらず、自分のいる場所がわからなくなったり、 周囲の人が誰だかわからなくなって、非常に不安定な状態になっています。 また、しまい忘れや置忘れが「盗まれた」とう妄想につながったり、 それを巡るやりとりから家族への反発が生まれることもあります。
このように、認知症患者は記憶機能が失われたまま日常生活を送っているため、 非常に不安定な状態にあることを介護する側がきちんと理解する必要があります。 認知症患者の問題行動を咎めないことも大切です。 回復を願うあまり、厳しくし、叱ったりすることもありますが、これは逆効果です。 また、「お金を盗まれた」「食事を食べさせてもらえない」などと言われると、 感情的にもなりがちですが、冷静に対応するようにしてください。 認知症患者の置かれた状態や行動を理解し、今の状態を受容することが大切です。


■生活環境への配慮

認知症患者の生活環境によって、問題行動が起こっていることがあります。 生活環境を見直して、問題行動の原因になっていることがあれば、それを改善するようにしましょう。


■介護サービスの利用

介護サービスも上手に使いたいものです。いろいろなサービスがありますが、主なものに、 ホームヘルパーが自宅を訪問して介護する「訪問介護」、日帰りで施設に通い、 食事、入浴などの介護や機能訓練を受ける「デイサービス」、施設に短期間入院する「ショートステイ」などがあります。
これらのサービスを利用することは、認知症患者の昼間の活動性を高め、昼夜のリズムを維持することにもつながります。 また、短時間でも介護から離れ、自由な時間を過ごすことで、介護する家族はリフレッシュして、 新たな気持ちで介護に取り組むことができます。


■介護ストレス

一般的に、認知症患者の介護は長期間にわたります。家族が中心になって在宅で介護している場合には、 その負担は重く、介護の重圧から介護する人が「うつ」になることも少なくありません。 介護によって、家族が心身の健康を損なうことのないよう、注意が必要です。 介護をする人にとって、何がストレスとなるかを調べた調査によると、多くの人が、 認知症患者の病気の進行度や体の活動度、介護時間の長さなどより、 「暴力、徘徊、不眠、幻覚、妄想、失禁、夜間不穏、昼夜逆転」などの「周辺症状」のほうが、 より強いストレスになると答えています。 薬物療法によって周辺症状を改善できることもあるので、担当医に患者の状況や変化を伝え、適切な対応をしましょう。

介護する家族が義務感から無理をし、我慢をしながら介護を続けていると、介護する人は心身ともに疲れ果ててしまいます。 つい患者にあたってしまい、患者の不安が大きくなるなど、悪い影響を与えることもあります。 介護する人は、心身に余裕を持って、患者に接するように心掛けたいものです。 また、介護にはなるべく多くの人に参加してもらうことが大切です。 一人で頑張らず、他の人にも、分担してもらえるように工夫しましょう。 介護する人は、「頑張りすぎない」「無理をしない」「一人で抱え込まない」「できる範囲で」などを心掛けましょう。 十分な栄養を摂り、睡眠時間、休息時間をできるだけ確保するほか、リラックスできる自由時間をつくることも大切です。 さまざまな介護サービスも積極的に利用しましょう。 介護する人が心身の余裕を持ち、生き生きと生活することが、よい介護につながります。


■関連項目