認知症の介護『排泄にかかわる問題』



■失禁

認知症が進むと、尿意や便意などが失われ、尿失禁、便失禁が起こります。 失禁は、介護する人にとって困ったものですが、本人にとっても非常につらいことです。 濡れたり汚したりした下着を、引き出しの奥などに隠すのも、”恥ずかしい””かっこ悪い”と感じています。 一方、尿意や便意が保たれていても、認知機能の障害や、合併する運動機能の障害で、トイレの場所が分からなくなったり、 ズボンを下すなどの排泄にかかわる行為ができずに、間に合わなくなって濡らしてしまうこともあります。 尿意や便意を感じているそぶりがあれば、速やかにトイレに誘導しましょう。 そのためには”どのようなとき、どのようなそぶりで尿意や便意を感じているか”をよく観察し、 排泄のパターンを把握しておきます。


■おむつを外す

おむつをしていることに対して、本人はとても恥ずかしく思っています。 中には屈辱だと感じている人もいるでしょう。介護する人は、まずその思いを理解しましょう。 おむつを替えるときに、「今日はいっぱい出ましたね」など、排泄に関することを言われると、屈辱感が増します。 排泄については触れず、おむつ替えなど特別なことではないという態度で、手早く淡々と行いましょう。 恥ずかしさ以外にも、おむつに違和感を感じたり、排泄物が不快なために、おむつを外す場合もあります。


■弄便

「弄便」とは、自分が排せつした便をいじり、体や衣類などにこすりつけたりする行為のことです。 トイレで排便した後に、それをいじったり、おむつの中に手を入れて、便を取り出したりします。 これは、便であることがよくわからずに、手にしてしまうのだと考えられます。 本人が便を手にしないよう、予防することが第一です。弄便をする人が排便した時は、 介護する人ができるだけ早く便を処理しましょう。