認知症の介護『睡眠に関わる問題』



●眠れない

認知症では、不眠は必ず起こるわけではありません。本当に眠れていないのかどうか、確認しましょう。 「明け方3時に起きてしまうので、眠れる薬を出してほしい」という家族に話を聞くと、 夕食後、19時に就寝させていたという事例がありました。この場合、睡眠時間は8時間とっており、 3時に目覚めるのは当然です。生活のリズムの問題はありますが、睡眠時間の長さには問題ありません。 十分な睡眠時間が取れていない場合には、まず、昼間しっかり目覚めて過ごして、 夜に自然な眠気がもたらすことができるように心がけましょう。 光には覚醒作用があります。昼間は戸外あるいは窓辺で過ごすなど、お日様と仲良くする時間を増やしましょう。 また、夕方過ぎのカフェインの摂取は控えましょう。 どうしてもねむれない場合は、「睡眠薬」を使うこともあります。 寝つきが悪いタイプや早朝に目覚めてしまうタイプなど、不眠のタイプ別に薬を選択します。


●昼夜逆転

昼夜逆転の原因に、夕方になると落ち着きがなくなり、幻覚や異常行動を伴うこともある「せん妄」があります。 夜眠れない分、昼間に眠くなり、昼に寝たので夜にまた眠れないという悪循環になってしまいます。 こうなると家族も一晩中眠れません。睡眠と覚醒のリズムを取り戻す必要があります。 朝は、決まった時間に起きてもらい、日中は散歩などして、お日様に当たることを心がけます。 せん妄の時に睡眠薬を飲ませるのは逆効果です。せん妄に対する薬物療法では、鎮静作用のある抗うつ薬が有用です。 せん妄になる時間帯に合わせて、前もって飲んでもらうようにします。