クレアチンの経口摂取の効果と意義について

クレアチンは前述したようなエネルギー代謝に関わることから、「筋肉疲労を回復する」「運動持久力を高める」 などといわれ、スポーツ選手のサプリメントとして プロテインやバリン、ロイシン、イソロイシンなどの 分岐鎖アミノ酸(BCAA)などと並び、 人気の高い成分となりつつあります。 運動選手におけるクレアチンサプリメントの効果的な摂取方法としては、ローディング(増強)期間として 1日に20gを4回に分けて摂取を行い、その後のメンテナンス(継続)期間には1日に5gを摂取する方法が推奨されています。

クレアチンは、入手可能な最も信頼できる科学的エビデンスによって裏付けが行われている、 米国のナチュラルメディシンデータベース(NMDB)に収載されている成分です。 短距離走のように短時間に激しい運動を何度も繰り返す運動期間中、筋肉機能を増強するために 経口投与された場合において、有効であるとされています。この効果はNMDBにおいて有効性レベル3、 すなわち「効くとは断言できないが、効能の可能性が科学的に示唆されるレベル」と判断されています。 しかしクレアチンの投与効果は、運動する人の状態(年齢、食事、投与方法)、運動の種類、訓練状況などによって、 評価が大きく異なります。たとえば、高度なトレーニングを受けた運動選手や高齢者の運動能力の向上には、 クレアチンの効果が認められていません。


●サプリメントでクレアチンを摂取する場合

クレアチンは、肉類や魚類に多く含まれる成分ですが、 クレアチンをサプリメントなどで摂取する場合は、十分な水分と共に適量を用いれば、経口摂取でほとんどの人に 安全と考えられています。しかし、クレアチンを大量に摂取すると、 分解産物であるクレアチニンの血中濃度が上昇するため、尿中への排泄が亢進し、 尿量が増加して腎臓や心臓に負担をかけるおそれがあります。 腎機能が正常で健康な人ではまれですが、腎臓に障害があるまたはそのリスクがあるという人においては、 クレアチンの摂取が腎機能に影響を与える可能性が示されています。 腎疾患の既往歴がある人、糖尿病高尿酸血症などで腎疾患のリスクが高い人は、 クレアチンの摂取を避けるべきでしょう。

さらに、薬の中にも使用法によっては腎臓に障害を与える場合のあるものがあります。 クレアチン摂取中における薬物の服用は、両者の相互作用によってさらに腎臓に負担をかける可能性も考えられ、 十分な注意が必要です。妊娠中、授乳中におけるクレアチンの摂取については、 安全性に関する信頼性の高いデータは十分にありませんので、摂取を避けるべきでしょう。

いずれにせよクレアチンの摂取効果が期待できるケースは、一部のスポーツ競技に関わる人だけのようです。 一般の方において、疲労回復効果や体格の改善効果などを裏付ける十分なデータは、 いまのところないのが現状です。