血中脂質の管理目標値~コレステロールの危険度チェック~
日本動脈硬化学会の診療ガイドラインで定められた、「血中脂質の管理目標値」では、 「LDLコレステロールの値」と「冠動脈疾患の危険因子の数」に応じてコレステロールの管理目標値が設定されています。 具体的には、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高いことのほかに加齢(男性は 45歳以上、女性は 55歳以上)、 高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、などの危険因子の数が多いほど、血清脂質をより低めに管理することを推奨しています。 冠動脈疾患を起こしたことがある人や糖尿病の人、脳梗塞や閉塞性動脈硬化症がある人の管理目標は、とくに低めに設定されています。 コレステロールの危険度を自己チェックしてみましょう。
■コレステロールの危険度チェック
LDLコレステロール値と危険因子の数に注目する
「コレステロール」が気になる年齢になったら、まずは自分のコレステロールが健康な状態なのか、
それとも危険な状態なのかを、把握しておきましょう。
下の図は日本動脈硬化学会の診療ガイドラインで定められた、「血中脂質の管理目標値」です。
ここで注目したい点が2つあります。
1つは、俗に”悪玉コレステロール”とも呼ばれる、「LDLコレステロールの値」です。
そしてもう1つは、「冠動脈疾患の危険因子の数」です。
コレステロールの管理目標値は、危険因子の数に応じて設定されています。
危険因子の数が多ければ、目標値はより厳しく、危険因子が少なければ、目標値は緩やかになります。
●血中脂質の管理目標値
冠動脈疾患 | 危険因子 | 管理目標値(mg/dl) | |||
総コレステロール値 | LDLコレステロール値 | HDLコレステロール値 | 中性脂肪値 | ||
なし | 0 | 240未満 | 160未満 | 40以上 | 150未満 |
1~2 | 220未満 | 140未満 | |||
3以上 | 200未満 | 120未満 | |||
あり | - | 180未満 | 100未満 |
◆冠動脈疾患の危険因子
動脈硬化を進行させ、冠動脈疾患を起こしやすくする危険因子には、次のような項目があります。
- ▼加齢
- 男性は45歳以上、女性では55歳以上になると、リスクが高まります。
- ▼高血圧
- 血管が障害され、動脈硬化が進みます。
- ▼糖尿病
- 血管が障害され、動脈硬化が進みます。糖尿病は特にリスクが高く、糖尿病があるとそれだけで、 他の危険因子3個分に相当します。
- ▼喫煙
- LDLを酸化させて、動脈硬化を引き起こします。また、HDLを減らしたり、血圧を上げやすくします。
- ▼冠動脈疾患の家族歴
- 家族に比較的若い年代で冠動脈疾患を起こした人がいる場合、冠動脈疾患の危険性が高いとみなされます。
- ▼低HDLコレステロール血症
- 善玉のHDLコレステロール値が40mg/dl未満の場合、危険因子になります。
◆LDLコレステロール値の求め方
総コレステロール値 - HDLコレステロール値 - 中性脂肪値/5 = LDLコレステロール値
【例】
総コレステロール値230mg/dl、HDLコレステロール値65mg/dl、中性脂肪値100mg/dlの人の場合
230 - 65 - 100/5 = 145(mg/dl)
【中性脂肪値が400mg/dl以上の場合】
中性脂肪値が400mg/dl以上の場合は、上の式からLDLコレステロール値を算出できないため、 代わりに下の式で「HDLを除いたコレステロール値」を算出し、LDLコレステロール値の目安にします。 これが170mg/dl未満であれば、「LDLコレステロール値140mg/dl未満」と同等とされます。
総コレステロール値 - HDLコレステロール値 < 170(mg/dl)