味覚障害

味覚に異常があると、毎日の食事の楽しみが損なわれるだけでなく、生活習慣病を招く恐れもあります。
しかし、治療によって多くの人が改善します。
味覚に異常を感じたら、早目に耳鼻咽喉科を受診しましょう。

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■味覚障害

味覚の異常は、生活の質や健康にも悪影響を及ぼす

「味がわからない」「味がおかしい」など、味覚の異常に悩む『味覚障害』の人が増えています。 その背景には、高齢化や、若い人を中心とした食生活の乱れがあると言われています。 味覚に異常をきたすと、食事の楽しさや満足感が得られなくなり、生活の質が低下してしまいます。 それだけではなく、食欲がなくなり、体力や抵抗力も下がってしまいます。 味がわからなくなることで塩分や糖分の摂り過ぎにつながり、「高血圧」や「糖尿病」などの生活習慣病を悪化させることもあります。

◆味覚障害の症状

患者さんの多くが訴える症状は、大きく3つあります。一つは、何を食べても「味が薄く感じる」ことです。 味覚の症状が徐々に進んでいると、自分では症状に気付きにくいものです。 この場合、いつも通りに調理しているはずなのに、料理を食べた家族などから、”最近、味付けが濃くなった” と言われて気付くこともあります。もう一つは、「味が全く分からなくなる」ことです。 例えば、甘いケーキを食べても、”まるでスポンジを食べているような気がする”などです。
以上のほか、人によってさまざまな味覚の異常を訴えることがあります。 まず、「いつもと味が違って感じられる」。また、塩辛いを”苦い”、酸っぱいを”塩辛い”など、 「本来の味とは違う味に感じられる」。口の中に何もないのに、「苦みや甘みなどの味を感じる」、 食べ物や飲み物が「いやな味に感じられる」などの異常を感じる人もいます。





●味覚障害の原因

多くは亜鉛不足により、味を感じる器官が障害される

味覚障害は、味を感じる「舌」に原因がある場合と、感じた味を脳に伝える「神経」に原因がある場合に分けられます。 神経に問題があるのは、「脳卒中」や「脳の外傷」「耳の手術の合併症」などの場合です。 しかし、味覚障害の多くは、舌に問題があります。

◆味を感じる仕組みと味覚障害の原因

舌の表面には「乳頭」と呼ばれる細かい無数の突起があります。 その中に、「味蕾」という、味を感知する小さな器官がたくさん存在しています。 一つの味蕾で、「甘み」「塩み」「酸み」「苦み」、そしてだしなどの「うまみ」をすべて感じることができます。 味蕾は、新陳代謝が非常に活発で、7〜10日間で新しい細胞と入れ替わります。 新しい味蕾が生まれるときに必要なのが、 『亜鉛』です。 年を取ったり、食生活の乱れで亜鉛不足になると、味蕾の細胞が再生しにくくなり、味蕾の数が減ってしまいます。 その結果、味覚に異常が現れてきます。

亜鉛は、「牛肉、レバー」「チーズなどの乳製品」「牡蠣、カニ、イワシなどの魚介類」「しいたけ」「わかめ、ひじき、もずく などの海藻類」などに多く含まれています。成人の必要摂取量は1日15mgですが、厚生労働省調べによる日本人の平均摂取量は、 7.8mgに過ぎません。必要量の半分程度しか摂取できないので、亜鉛の多い食品を積極的に摂る必要があるでしょう。

◆その他に原因となるもの

亜鉛は、さまざまな薬の作用で、特定のタンパク質と結合して排泄されてしまうことがあります。 こうした作用が最も多いのは「抗癌剤」ですが、「降圧剤」など、長期に服用する生活習慣病の薬が原因となることもあり、 注意が必要です。そのほか、「胃や腸の手術後」に、胃腸からの亜鉛の吸収が減ることがあります。 「糖尿病」「貧血」「肝臓病」「腎臓病」などの全身疾患でも、亜鉛不足になりやすいと考えられています。 また、亜鉛不足とは別に、「風邪のウィルス」や「喫煙」などで、味蕾がダメージを受けて、味覚障害が起こることもあります。 「うつ」や「ストレス」で、味覚障害の症状を訴えることもあります。 検査をしても、味蕾は神経の機能は正常なことが多く、味を感じる脳の働きの変化が原因ではないかと考えられています。



●味覚障害の検査

舌の神経の働きや、感じる味の強弱などを調べる

味覚に異常を感じたら、耳鼻咽喉科を受診してください。数は少ないのですが、「味覚外来」を設けている医療機関 もあります。耳鼻咽喉科や味覚外来では次のような検査を行います。

▼電気味覚検査
患者さんの舌に電極を当てどの部分がどの程度の味を感じるか、舌の神経の働きを調べます。 検査時間は5〜15分間程度で、日本全国の多くの耳鼻咽喉科で受けられます。
▼ろ紙ディスク法
「甘み」「塩み」「酸み」「苦み」の味が付いた溶液を浸したろ紙を舌の上に乗せ、どのような味がするか患者さんが答えます。 それぞれ5段階の濃度になった溶液を用い、どの段階で味を感じるかで、味覚の状態を判断します。

以上のほか、血液中の亜鉛を調べるため、血液検査も行われます。



●味覚障害と診断されたら

亜鉛を補う薬を用いて、味蕾の再生を促す

治療の基本は、「亜鉛製剤」の服用です。不足している亜鉛を補い、味蕾の再生を促して、味を感じやすくします。 血液検査で亜鉛不足が認められなかった場合でも、亜鉛製剤を用いて、味覚の機能の向上を目指します。 亜鉛製剤を基本として、原因によって、他の治療を加えたり、原因を取り除くための対処を行います。 例えば、鬱やストレスが原因の場合には、精神科や心療内科の医師と連携して「抗鬱薬」や「抗不安薬」を使用したり、 カウンセリングを行ったりして心の治療を行います。 薬が原因の場合は、その病気の担当医と相談しながら、不要な薬がないかどうかを見直し、薬の種類や量を必要最小限に 整理していきます。

◆7〜8割の人が効果を実感

亜鉛製剤を使っても、すぐに味覚が回復するわけではありません。個人差はありますが、回復には3〜6ヶ月間程度はかかります。 ただ、時間はかかっても、7〜8割の人が効果を実感します。 早く治療を始めれば、それだけ効果も早く現れるので、味覚に異常を感じたら、なるべく早く受診しましょう。



●関連項目





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