慢性頭痛の予防

「残業が続くと”緊張型頭痛”が起こりやすい」
「休日に寝すぎると”片頭痛”が起こりやすい」
自分の頭痛がどんなときに起こりやすいかがわかれば、対策を立てることができます。 自分に合った日常生活の工夫で、頭痛を予防したり、痛みを和らげるようにしましょう。


■慢性頭痛の誘因

「頭痛ダイアリー」を活用して、誘因を調べる

「慢性頭痛」の誘因には、さまざまなものがあります。 なかには女性の月経のように取り除くことができないものもありますが、 日常生活を工夫して誘因をできるだけ取り除くことで、多くは頭痛の頻度が減ったり、 ほとんど起こらなくなることもあります。

誘因を取り除くためには、まず自分の頭痛がどんなときに起こりやすいかを知ることが大切です。 その際に役立つのが、「頭痛ダイアリー」です。「頭痛の起こった日時」「痛みの程度、痛み方、痛む部位」 「使用した薬の名前」「頭痛の経過」など、頭痛に関する記録をとると、患者自身が自分の頭痛の特徴や 誘因などを知るのに役立ちます。

また、医師にとっては、診断や治療内容の決定の際の重要な判断材料になるので、 受診時には記録を持参するようにしてください。


●緊張型頭痛の誘因と対策

「緊張型頭痛」の誘因には、「ストレス」「筋肉疲労」「同じ姿勢をとり続ける」「過労」「目の疲れ」 などがあります。また、「顎関節の異常」が頭部の筋肉の収縮を招き、頭痛を起こすこともあります。 緊張型頭痛に悩んでいる人は、このような誘因がないかどうか、自分の生活を振り返ってみましょう。
緊張型頭痛を予防したり、痛みを軽減させるには、心身のリラックスを心がけることが大切です。 例えば次のような方法で、筋肉のこりをほぐしたり、血流を改善するとよいでしょう。

▼体を温める
ぬるめのお湯で半身浴をするなど、体を温めると全身の血流がよくなります。

▼睡眠と休息
十分な睡眠をとり、忙しくてもやりくりして仕事を休む日を設けるなど、疲労回復を心がけましょう。 仕事中にも、適宜休息をとり、肩こりや筋肉疲労を防ぐようにすることが大切です。

▼少量の飲酒
時には、お酒を少し飲んでリラックスするのもよいでしょう。

▼軽い運動
軽い運動には、こりをほぐしたり、血流を促進する効果があります。仕事や家事の合間など、 日常生活に運動を取り入れてください。

●片頭痛の誘因と対策

「片頭痛」は、日常生活に支障をきたすことも多いので、誘因を調べることが非常に重要です。 片頭痛の誘因には、「空腹」「睡眠不足・寝すぎ」「急激な温度変化」「月経」「人ごみ」 「騒音・まぶしい光」などがあります。また、「ストレスがかかったとき」だけでなく、 逆に「ストレスから開放されてホッとしたとき」に起こることもよくあります。 例えば、自分の片頭痛が空腹で怒りやすいとわかれば、「お腹がすきすぎる前に間食や食事を取る」、 寝すぎで起こりやすい場合は、「休日でも平日と変わらない時刻に起床する」など、 自分にあった工夫をしましょう。また、月経が誘因と考えられる場合には、月経時に仕事や家事が 集中しないように工夫するほか、月経のような避けられない誘因では、積極的に受診して 薬物療法を受けることが勧められます。
また、片頭痛が起きた場合には、次のような方法で痛みを和らげるようにします。

▼冷やす
こめかみのあたりの動脈が通っている部分を冷やして血流を妨げると、痛みが軽くなることがあります。 こめかみを軽く圧迫するのもよい方法です。

▼静かな暗いところで横になる
動くと痛みがひどくなりますから、横になったり、静かに過ごすなど、無理をしないようにしましょう。 音や光の刺激は避けたほうが楽になります。

●群発頭痛の注意

「群発頭痛」の場合には、頭痛が頻発する時期(群発期)の飲酒は必ずといっていいほど頭痛を引き起こします。 群発期には飲酒を避けましょう。 また、睡眠中や明け方に頭痛が起きて目が覚めることが多いため、なかには夜眠らずに起きていようとする人 もいますが、睡眠不足にならないよう、通常どおりに就寝するようにしてください。