【質問】白斑が広がってきています

3年ほど前から目の周りや髪の生え際に白斑が出てきました。近所の皮膚科で塗り薬を処方されましたが、効果は全くありません。 半年ほど前から白斑が両手足にもポツポツと広がってきて、人前に出るのも気が重くなっています。 よい治療法はないでしょうか。
●76歳・女性
高血圧の治療中


【答】

皮膚の色は皮膚で作られるメラニン色素の量で決まります。 そのメラニン色素が減少して皮膚の色が薄くなる状態を「白斑」と呼びます。 白斑はさまざまな原因で生じますが、ご質問者の場合は日常の皮膚科診療でも時折みられる「尋常性白斑」という病気だと思います。 これは、メラニン色素をつくる色素細胞に対する異常な免疫反応によって色素細胞が壊されてメラニン色素が作れなくなるもので、 境界がはっきりとした真っ白の白斑が生じるのが特徴です。 白斑は体の一部に発生することが多いのですが(限局型/分節型)、病気が進行すると全身に広がり多発してきます(全身型)。 子供から大人まであらゆる年齢に見られますが、白斑が広範囲に生じている場合は甲状腺疾患や副腎疾患など他の病気を伴っていることがあり、 この場合はホルモン異常がみられるので血液検査で確認することも必要です。

治療の基本はステロイド薬、タクロリムスの外用や紫外線照射です。 白斑が広範囲にみられる場合はステロイド薬の内服、また難治性の場合はミニグラフトといわれる外科的処置(植皮)が行われることもあります。 また、これらの治療で効果がみられない場合は、メイクアップにより病変をカモフラージュする化粧療法という手段もあります。 ご質問者の場合は高血圧があるようですので、ステロイド薬の内服療法は難しいかもしれませんが、紫外線の全身照射療法は効果があるかもしれません。 いずれにしても、さまざまな治療法を試していくことになりますので、治療にはかなりの時間を要すると思います。

顔などの周囲から見える場所に白斑が生じると外出時にストレスを感じやすくなりますし、 露出部位に生じた白斑は夏場に日焼けで赤くなりやすいので適切な治療が必要です。 尋常性白斑の診断、評価、治療は皮膚科が専門で、治療は皮膚科専門医の下で根気よく行うことが大切です。 クリニックなどでの治療には限界があることも多いので、一度大学病院など皮膚科のある大きな病院でご相談されることをお勧めします。

(この答えは、2024年6月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)