【質問】骨切り術から10年、人工関節置換術を考えています

「変形性膝関節症」のため、52歳の時に左膝、 53歳の時に右膝に「高位脛骨骨切り術」を受けました。 最近、少しずつ両膝に痛みが出て水も溜まり始めたので、 「人工関節置換術」を考えています。 ただ、人工関節の寿命は15年ほどと言われ、自分の寿命を平均寿命としても、15年以上あるので不安です。 手術の時期についてどのように考えるとよいでしょうか。
●64歳・女性


【答】

人工関節は、10年ほど経ったら取り換えなければいけないと思っている方が多いようですが、90%以上の確率で最低10年以上はもつことがすでに定説となっています。 さらに、使われている素材、特に軟骨の役割をするポリエチレン部品の材質が向上して経年劣化が少なくなったこと、 また、手術法がより精密に進化して体への負担が少なくなっていることなどにより、現在では20年、あるいはそれ以上の耐用が十分に期待できるようになりました。 そのため、60歳以上で関節の変形が進行している方には積極的に人工関節手術が勧められます。 一方、50歳以下の方や、強めの運動をされる方の場合は、人工関節の手術をすべきかどうかを慎重に検討する必要があります。 ご質問者は64歳の女性で、平均余命までには25年ほどありますが、今すぐ人工関節の手術をしても、多くの場合、1回の手術で一生もつと考えられます。 痛みや水が溜まるなどの症状が継続的にあり、運動療法や消炎鎮痛薬などの保存的治療で十分な効果がないのであれば、 そろそろ人工関節の手術を考えてよい時期だと思います。膝の人工関節の手術の場合、通常は自己血も含めて輸血の必要はありません。 手術翌日からリハビリを始め、2週間くらいで安定して歩けるようになったら退院です。 注意事項として、骨切り手術後の人工関節手術は、技術的にやや難しくなります。 骨切り術の方法(プレートを当てた位置など)や手術を行った時期、皮膚切開の場所などによって、手術法を細かく調整することが必要です。 また、再手術になるので、特殊なタイプの人工関節が必要になる場合がありますし、症状が思ったほどよくならない、 縫合した皮膚の治りが遅くなるといった可能性も考えられます。手術を受ける際には、人工関節手術を専門的に行っている病院、医師に相談されることをお勧めします。

(この答えは、2017年8月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)