【質問】O脚がひどくなり、手術を勧められました

夫(85歳)は、最近、O脚がひどくなって歩きにくくなりました。 病院では手術を勧められましたが、手術をしてもよくならないという話も聞きますので、夫はあまり乗り気ではありません どうすればよいでしょうか。


【答】

まず、O脚がひどくなった原因についてですが、大きく次の2つのことが考えられます。 1つは「膝の内側の関節軟骨の摩耗が進行し、関節の内側の隙間が狭くなったこと。 もう1つは「膝の外側の靱帯が緩んだこと」です。 1番目の問題は、通常は年齢とともに進行していくことが多く、急激に進行することは、ほとんどありません。 ただし、膝関節の軟骨が完全に摩耗してなくなってしまうと、骨同士が直接接触するようになるため、痛みが生じて歩きにくくなることがあります。 軟骨にはもともと神経が存在しないため、痛みを感じることはありませんが、骨には神経が存在するため、骨同士が接触することで痛みが発生するのです。 2番目の問題は、O脚によって膝の外側の靱帯に負担がかかり続け、靱帯が伸びてしまうことが原因です。 靱帯が伸びて緩むと関節が不安定になるので、O脚はさらに悪化します。 特に荷重時(足が地面に着地するとき)に瞬間的に膝が外側に湾曲してO脚がひどくなる”スラスト”という現象が起こると、痛みが強くなります。 この場合は、人工関節置換術を検討することが多々あります。 どちらが原因かは整形外科を受診して、荷重位(立った状態)のエックス線画像で評価してもらう必要があります。

治療に関してですが、年齢を考えると人工関節置換術が第一選択となります。 手術を選択する決め手になるのは、痛みの程度と生活するのにどのくらい困っているかです。 痛みのVAS値(過去に経験したことのある最大の痛みを10とした場合の現在の痛み)が「5」を超えた場合に手術が勧められます。 手術をすれば脚はまっすぐになり、痛みも大幅に減ります。 最近の人工関節置換術は素材も手技も進歩しており、安心して受けられる手術です。 ただし、85歳とご高齢なので、手術後の合併症(感染症、肺血栓塞栓症、持病の悪化など)には十分に注意する必要があります。 痛みと生活障害の程度、術後の危険性を十分に考慮し、担当医とよく話し合ったうえで、手術を受けるかお決めになるのがよいと思います。

(この答えは、2019年12月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)