【質問】40歳で脊柱管狭窄症と診断されました
40歳で「腰部脊柱管狭窄症」と診断されました。 まだまだ小学生の息子たちとスポーツをしたかったのに残念です。「手術はまだしなくてよい」と言われていますが、日々の痛みがつらいです。 現在は湿布と痛み止めの飲み薬を使っています。この病気とどのように付き合っていけばよいでしょうか。
【答】
「腰部脊柱管狭窄症」は、神経の通り道である脊柱管を構成する黄色靭帯が肥厚したり、椎間板が変性して膨隆したり、 椎間関節が変形したりして脊柱管が狭くなり、中の神経が圧迫されて痛みや痺れが生じる病気です。 診断には痛みの場所(下肢か腰か)も重要ですが、今回は下肢痛(神経症状)があるケース、として回答します。
まず40歳という年齢は、腰部脊柱管狭窄症を発症するには少し若いと思います。 というのは、腰部脊柱管狭窄症は背骨の老化によって起こるからです。 40歳代で発症した場合に考えられるのは、生まれた時から脊柱管が狭い体型であることです。 この場合は背骨が少し変形するだけで脊柱管がさらに狭くなるので、神経症状を発症しやすくなります。 また、背骨の変性が通常よりも進みやすい体質や後縦靭帯硬化症がある場合などにも脊柱管が狭くなりやすくなります。 いずれの場合も脊柱管が狭くなるのは腰部だけではないので、胸椎や頸椎のチェックも受けられるのがよいと思います。
腰部脊柱管狭窄症と診断されても、調子がよいときにレクリエーション程度のスポーツやストレッチを行うのはかまいません。
ただし、腰部に負担がかかるような運動は避けましょう。痛みがあるときは運動を控えめにして、コルセットなどで腰を安定させるとよいでしょう。
強い痛みで日常生活に支障が出る場合や筋力低下などの運動障害が生じている場合は手術を検討します。
特に立ったり歩いたりするときに肛門の辺りが痺れたり尿が漏れたりする場合は、かなり重症だと考えられるので、早目の手術が勧められます。
手術は、基本的には神経への圧迫を取り除く「除圧術」で対応できると思います。
この手術による機能障害などの可能性は低いとされているので、強い痛みを我慢して生活するマイナス面のほうが大きい場合は手術を考えてよいと思います。
ただし、若年者の腰部脊柱管狭窄症の場合、手術後に別の部位に狭窄が生じて神経症状を発症する可能性があるので、
十分に注意しながら経過をみていくことが大切です。
(この答えは、2024年6月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)