■質問:レム睡眠行動異常症にアルコールは関係しますか?

半年ほど前に夢を見て声を張り上げることがあり、心療内科で「レム睡眠行動異常症」と診断されました。 アルコールを断ち、ロゼレム錠を服用したところ症状が止まったので、処方がツムラ加味帰脾湯に変わりました。 医師から「アルコールは控えめに」と指示されていますが、レム睡眠行動異常症とアルコールとの関係について教えてください。 アルコール量は以前の1割以下で、3日に1回、ビールをコップ1杯に留めています。
●85歳・男性


【答】

レム睡眠行動異常症の正式名称は「レム睡眠行動障害」です。 現在のところ治療を受けて症状は落ち着いているけれども、飲酒を控えるように指導されており、晩酌がどの程度の悪影響があるのか心配だというご相談ですね。 まずこの病気の特徴をご説明しましょう。「レム睡眠」は夢を見る睡眠として有名ですが、同時に骨格筋が弛緩するという特徴があり、 レム睡眠中は、寝返りもできません。ところが、レム睡眠行動障害の患者さんでは、筋肉を弛緩させる脳の機構が障害されているため、 夢(特に悪夢)の内容に合致した行動をとってしまいます。例えば、「誰かを叱る夢を見て、大声で怒鳴る」 「暴漢に襲われる夢を見て、隣にいる奥さんを蹴りつける」「猛犬に追いかけられる夢を見て、ベッドから飛び出しタンスにぶつかる」などです。 痛みなどで目が覚めると異常行動はすぐに消失します。数ヵ月に1回程度など、異常行動がまれにしか出現しない場合には、 ベンゾジアゼピン系の薬であるクロナゼパムや漢方薬を用いて治療します。


さて、心配されている晩酌ですが、残念ながらアルコールはレム睡眠中、特に明け方の筋弛緩を妨げる作用があるため、 一般的に飲酒した夜にはレム睡眠行動障害が出現しやすく、症状も重くなりがちです。 また、習慣的に飲酒する方では、お酒を飲まなかった夜に禁断症状として悪夢が増えたり、レム睡眠中の筋弛緩が高まったりすることがあり、要注意です。 担当医がお酒を控えるように指導したのも、このような理由によると思われます。 また、クロナゼパムなどの一部の薬では、アルコールと併用すると効果が強く出たり、副作用が出現しやすくなったりするので、 その面からも飲酒はできるだけ控えた方が無難でしょう。 一方で、お酒の影響には個人差があります。ご質問者は3日に1回程度の適度な飲酒を楽しまれており、 飲酒した夜も休肝日の夜も症状の悪化がみられていないようです。 レム睡眠行動障害はストレスも引き金になります。ご質問者の場合は、晩酌がよい息抜きとなっているようですので、 ご相談内容から考えますと、現在のペースで晩酌を続けるのはかまわないと思われます。

(この答えは、2019年4月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)