慢性腎臓病豆知識

慢性腎臓病に関する豆知識をお伝えします。


■尿でわかる腎臓の健康チェック



●チェック1:最近トイレの回数が増えた。

腎臓は血液から毒素を濾過によって尿に捨ててくれていると同時に尿を濃くする濃縮力を持っています。 腎臓の働きが悪くなると濃縮力が低下して尿の回数が増えます。

腎臓は1日に1500㍑の血液から1.5㍑の尿を作っています。
①まず、糸球体は血液を濾過し尿の元を作ります。
②尿細管で必要な成分を再吸収し尿の元を濃縮します。1500㍑の血液が1.5㍑の尿になります。
ところが腎臓が病にかかると再吸収で尿の元を濃縮する能力が低下し、薄い尿が作られ続けます。 その結果、尿の回数が増えます。健康な人の尿は1㍑から1.5㍑。回数にして5回程度。 つまり、それより多すぎる人は、腎臓機能が低下している可能性があります。

◆気にかけないといけない尿の回数は?

普通に生活をしている方で10回以上排尿する方は注意が必要です。 特に夜中寝ている間に4回5回とお小水に行く方は「慢性腎不全」の可能性もありますので、 医師に診てもらった方がいいでしょう。


●チェック2:尿はどんな色か?

本来粒子が大きい血球はフィルターを通さず体内に残ります。 ところが、フィルター機能が低下すると、血球がフィルターを通過し尿に混ざることで尿の色が変わってしまいます。 尿の色は薄い黄色から濃い赤まで6段階に分けた場合、薄い茶色程度までは健康と判断されますが、 赤身がかかってきたら血尿の可能性が高く要注意です。


●チェック3:尿が泡立つかどうか?

尿にきめ細かい泡が混じっていると危険です。 これは腎臓のフィルター機能がやられてしまうと、本来尿には出ないはずの「たんぱく」が出ることを示しています。 細かい泡が3分経っても消えなければ、たんぱく質が出ている証拠で、検査をお勧めします。 腎臓の機能の低下というのは、まず尿に現れやすいので、日頃から尿の異常を確認しておくことが大事です。


■その他


●腎臓の機能が停止しまったらどうなるか?

身体の中の老廃物を身体から外に出せなくなるので、人工透析をしなくてはならなくなります。 人工透析とは、正常に機能しなくなった腎臓の代わりに血液の老廃物や毒素を濾過する機械です。 週に3回病院に通い、1回4~5時間治療を受けなければなりません。 人工透析をすると、長時間の治療以外にも、水分や食事の制限など生活の自由が奪われてしまいます。 透析治療は1度始めると一生行わなければなりません。


●腎臓病の原因は?

腎臓病の主な原因は高血圧、糖尿病などの生活習慣病や暴飲暴食、不規則な生活などが腎臓の機能を低下させ腎不全を招きます。


●注意点

食事の塩分とたんぱく質を摂り過ぎないことが大事。 塩分を摂ると腎臓が濾過すべき塩分・水分の量が増えて負担がかかります。 また、たんぱく質の燃えカスである窒素成分が体の中に老廃物として溜まるので腎臓の負担になります。


●健康診断の結果報告書でわかる腎臓病リスクチェック法

見るのは尿検査でわかる尿たんぱくと血液検査で分かるクレアチニン。クレアチニンは血液の老廃物といわれるものです。 たんぱくはT1~T3、クレアチニンはC1~C3とそれぞれ3段階に分かれていて、 腎臓病のリスクをチェックするにはこの2つの結果を組み合わせて見ていき、 腎臓病リスク早見表でリスクの「低・中・高」を確認します。 リスクが中以上だった方は一度検査をお勧めします(早見表はネットで検索して探してください)。


●リスクが高まる症状の組み合わせとは?

▼症状1:血尿+喉の痛み・腫れ
まずは血尿が出ているかどうか。ただし血尿は腎臓病以外にも膀胱炎とか他の病気でも現れることがあるので、 血尿だけだと、腎臓病の可能性は20%くらいです。 血尿に加え「喉の痛み・腫れ」があると腎臓病の可能性が80%にまで上がります。 これは、喉に細菌が入るとこれを排除しようとして、人間の体は免疫物質を作ります。 その免疫物質の一部が腎臓にくっついて炎症を起こし、「腎炎」を起こすことがあります。 本来なら体を守る免疫物質ですが、それが腎臓に入ると、腎臓の糸球体に付着して炎症を起こし血尿を出させるのです。 ですので、喉が腫れて痛いときに、それに引き続いて血尿が出る場合は腎炎の可能性が高いといえます。

▼症状2:尿の泡立ち+脚のむくみ
1つは尿の泡立ち。これは尿たんぱくの可能性があるので、尿の泡立ちがあれば腎臓病の可能性は20%。 これに「脚のむくみ」があると、腎臓病の可能性が50%になります。 腎臓の働きが低下すると、水分の調節ができなくなって脚がむくみます。 これは、腎臓病が進行すると糸球体が硬化し、濾過機能が停止するので余分な水分を尿として出せなくなりむくみがでるのです。
【むくみの程度のチェック方法】
すねの骨の部分を10秒間押し、指の跡が残ったらむくみのサインです。

症状3:下痢
脚だけではなく腸もむくんできます。そうすると腸から必要な水分が体の中に吸収されなくなってしまって そのまま水分が腸の中で出て下痢になってしまいます。

これらの3つの症状が重なった場合は腎臓病の可能性が90%になります。


●日頃から気を付けること

昨今、高カロリー食が多いので、肥満とかそれが高じて糖尿病になると腎臓がいっぺんにやられてしまいます。 高脂肪・高たんぱくのものを控えることが大事です。
また、血圧と腎臓はすごく関係があり、血圧が高いと糸球体にすごく負担になるので塩分の摂り過ぎに気を付けることが、 腎臓を守る一つの秘訣になるかもしれません。