先天性QT延長症候群とは?

先天性QT延長症候群に関する疑問にお答えします。


■先天性QT延長症候群

姉は心電図検査で異常があり、「先天性QT延長症候群」と診断されました。過去に失神したこともあるといいます。 私は健康診断の心電図では異常がありません。しかし、過去に2~3回失神したことがあります。 姉と同じ病気の可能性がありますか?(33歳・女性)


【答】

「先天性QT延長症候群」は、突然死を引き起こす可能性がある遺伝性不整脈の1つで、主に心電図検査で診断されます。 心電図のQは心室の興奮の始まりを示し、Tは興奮が完全に治まるまでを示しています。 QからTまでの時間が長くなるのが、QT延長です。QT延長自体は、胸痛などの症状を引き起こすわけではありません。 しかし、QT延長があり、運動時や興奮したときにトルサードポアンという拍動が非常に早くなる不整脈が起こると、 突然死の原因となる心室細動という危険な不整脈に移行することがあります。 心室細動が起こると、心室の筋肉が痙攣した状態になり、血液を送り出せなくなります。 これが20~30秒間続くと、失神します。さらに数十分間以上続くと、突然死に繋がります。

お姉さまは心電図検査で先天性QT延長症候群と診断され、失神を起こした経験もあるわけですから、トルサードポアンが起きていた可能性が高いと思います。 先天性QT延長症候群は遺伝性不整脈の1つであるため、ご本人も過去に2~3回失神を起こしていることを考えると、 先天性QT延長症候群である可能性が高いと思います。 健康診断の心電図検査では異常がなかったとのことですが、安静時心電図検査では、QT間隔に異常が出ない人もいます。 そのような場合には、運動負荷試験などが必要になります。循環器内科で、特に不整脈を専門にしている医師がいる医療機関を受診してください。

先天性QT延長症候群の半数以上には遺伝子変異があり、それによって多くは1型、2型、3型に分けられます。 1型は運動中にトルサードポアンが起こりやすく、2型は驚いたり急に興奮したときに、3型は睡眠中や安静時に起こりやすいことがわかっています。 どの型かを知っていると発作を防ぎやすくなります。 ただし、遺伝子検査を行える医療機関は全国でも限られています。希望する場合は、担当医に紹介してもらいましょう。