遺伝性の不整脈(ブルガダ症候群)について

遺伝性の不整脈に関する疑問にお答えします。


■遺伝性の不整脈(ブルガダ症候群)について

高校生の子供がいます。父親は、14年前、睡眠中に心室細動を起こして突然死したため、遺伝性の不整脈があるのではないかと心配です。 学校の心電図検査では大丈夫でしたが、24時間の心電図検査も受けたほうがよいでしょうか?(女性)


【答】

高校生のお子さんのお父様が心室細動で突然死されているとのことですが、お子さんの年齢から推察して、30~40歳代での突然死だったと考えられます。 その年代だと、原因は「ブルガダ症候群」だった可能性があります。 ブルガダ症候群は遺伝性不整脈の1つで、男性に多く、最初の心室細動の発作は30~50歳で起こることが多いといわれています。 また、遺伝性の病気なので、お子さんもブルガダ症候群がある可能性はあります。 学校の心電図検査では異常がないとのことですが、遺伝性不整脈や突然死に詳しい循環器内科などで、検査を受けておくとよいでしょう。 電極の位置を少し変えた心電図検査や、薬物負荷試験などの検査をお勧めします。 ブルガダ症候群の診断には、24時間の心電図検査は有効ではないとされています。

ブルガダ症候群と診断されたとしても、すべての患者さんに心室細動や突然死が起こるわけではありませんが、 定期的な検査を受けていく必要はあるでしょう。 ブルガダ症候群で、突然死を起こす可能性が高い場合には、植込み型除細動器という機器を体内に植え込んでおく方法があります。 心室細動が起きると、これを感知した機器が自動的に心臓に電気ショックを与え、正常な拍動に戻します。

ブルガダ症候群の患者さんの一部にSCN5Aという遺伝子に変異が見つかります。 ある研究では、SCN5Aに変異がある人は、変異がない人に比べ、心室細動や突然死のリスクが約2倍高いことがわかっています。 ただ、遺伝子変異があっても治療自体が大きく変わるわけではありません。 SCN5A変異を調べるかどうかは、担当医とよく相談してください。