「時計遺伝子」が人間の行動を決めている

人間の細胞には『時計遺伝子』というものが備わっており、脳や筋肉、内臓などが何時にどのような働きをするかは、
おおよそ決まっているのです。この時計遺伝子を活用して、ハイパフォーマンスを発揮しましょう。


■時計遺伝子が作動しないと体が疲れやすくなる

ヒトは何をするにしても、時計遺伝子の働きで、その作業に最も適した時間帯というものが存在しています。 仕事ができる人はその時間帯を自然と把握していて、適した時間帯に適した仕事をすることで、 ハイパフォーマンスを発揮しています。時計遺伝子は全身の細胞にくまなく存在し、時計のように時を刻みながら 体内の各器官が働くタイミングをコントロールしています。 その仕組みは、遺伝子が「時計物質」を作りだし、一定量に達すると作業を止め、 足りなくなると再び物質を作り出します。この作業が24時間の周期で行われているのです。

この時計遺伝子が正常に作動していないと、「疲れやすい」「日中なのにやたら眠い」といった症状が現れます。 放置したままだと、高血圧や鬱病などの病気も引き起こすので注意が必要です。 時計遺伝子を有効に働かせるために、どのような生活スタイルでも3つの生体リズムだけは意識してみましょう。 続けていれば、やがて脳が「この時間にクリエイティブな仕事をすれば、成果が出やすくなる」と認識し始めます。 そうすれば、自然とハイパフォーマンスが発揮できる体内の環境が作られてくるはずです。 また、生活が不規則になってしまうときは、朝食を摂る時間を一定にしてみましょう。 時計遺伝子は絶食後の食事、つまり朝食の量を多くすると、体内時計を調整する作用を起こします。

ちなみに、この時計遺伝子のメカニズムは医学の世界にも応用されています。 例えば、腎臓や肝臓の活動が最も活発になるのが14時だったら、その時間帯に手術を行えばもっとも回復率が髙くなります。 この考え方を「時間医学」といい、今なお研究が進められています。