前立腺癌を予防する食品

トマトの赤い色素であるリコピンが前立腺癌の発症・進行を抑える効果のあることに米国の調査でわかりました。


■トマトのリコピン

活性酸素を無害化する働きが強い

「前立腺」は、男性の膀胱の真下に位置する器官です。 他の癌に比べれば患者数は少ないものの、ここ40年で死亡率は約5倍に高まっています。 近年、癌の予防効果で世界的な注目を集めている野菜があります。それは、「トマト」です。 例えば、WHO(世界保健機関)の報告によると、男性10万人あたりの癌による死亡者数は、イタリアの316.4人に対し、 ギリシャは227.8人でした。トマトの消費量がイタリアの2倍近くにもなるギリシャの方が、癌患者は少なかったのです。 トマトが癌を抑えるのは、トマトの赤い色素成分である「リコピン」の働きによると考えられています。 私たちの体内で細胞が癌化する重大原因は、活性酸素が細胞の遺伝子を傷つけるため。 この活性酸素を無害化する力が、リコピンはβ-カロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上も強いのです。


●リコピンの効果

トマトの加工品の多食で前立腺癌が3割減

では、トマトの多食によってどのような癌が防げるのでしょうか。
2002年に、米国ボストンのブリガム女性病院とバーバード大学が、過去13年間の臨床データをもとにして、 47,000人以上の男性を調査しました。これらの男性のうち、調査中に前立腺癌を発症した2481人と、 それ以外の人の食生活を詳しく調べて比較したところ、トマトの加工食品(ケチャップやトマトソースなど) を週2回以上食べていた人は、そうでない人に比べて、前立腺癌にかかるリスクが36%も低いことが判明したのです。 さらに、米国カルマノス・癌研究所のクチューク教授は、初期の前立腺癌の患者15人に対して、 リコピンのサプリメントを3週間投与する臨床試験を行いました。 別の11人の患者には、偽薬(有効成分を含まない偽の薬)を摂ってもらいました。 その結果、リコピンを投与したグループは、偽薬のグループに比べて前立腺癌の進行が有意に抑えられていたのです。 ここで用いられたサプリメントには、30mgのリコピンが含まれていましたが、1日20mgで癌の予防効果が 十分期待できるという説もあります。 そのほかにも、トマトを多食する人には肺癌や胃癌、膵臓癌が少ないという報告があります。 一般に、市販のトマトには100g中3mgのリコピンが含まれますが、赤色の強いトマトほど、 リコピンが多い傾向にあります。また、トマトを加熱したり、油と一緒に摂ったりすれば、 リコピンの吸収率が高まることもわかっています。

【関連項目】:『リコピン』