目の病気『一般的な目の検査』

眼科では、他の診療科では目にすることのない、専用の装置を使った検査が多くあります。 ここでは、さまざまな目の病気や異常を調べるときによく行われる、 「細隙灯顕微鏡検査」「眼底検査」「眼圧検査」「視力検査」「屈折検査」「調節検査」などの一般的な検査について説明します。


■細隙灯顕微鏡検査

眼球の状態を観察する検査です。眼科で最も基本的な検査といえます。 検査では「細隙灯顕微鏡」という装置を用いて、暗い部屋で行われます。 額と顎を固定した患者さんの目に、細く絞った光の束(細隙灯)を斜めの方向から当てて、顕微鏡で拡大して細かく調べます。 この検査では、瞼や結膜、角膜、前房、虹彩、水晶体、硝子体の前部などの状態をチェックすることができます。 さらに、他の器具と組み合わせることで、隅角や硝子体の後部、網膜、眼圧などを調べることもできます。 細隙灯顕微鏡を使えば、眼球のほとんどの部位の異常や病変を観察できます。


■眼底検査

瞳孔から眼球の奥の「眼底」をのぞいて、網膜や脈絡膜、視神経の状態などを観察する検査です。 網膜の血管を直接、観察することもできます。眼底検査には、いくつかの方法があります。 代表的なのが、「倒像鏡」という検眼鏡を用いた方法です。 患者さんの目の前に倒像鏡を置き、50cmほど離れた位置から光を当てて、眼底を拡大して観察します。 また、細隙灯顕微鏡を使い、角膜の上に検査用の特殊なコンタクトレンズを乗せて、眼底をのぞく方法もあります。 眼底を詳しく検査するには、瞳孔を広げる必要があります。そのため、検査前に散瞳薬を点眼し、瞳孔を十分に開いてから検査が行われます。


●蛍光眼底造影

網膜や脈絡膜などの眼底の血管を、より詳しく調べるときに行われます。 蛍光色素を含んだ造影剤を、腕の静脈に注射します。造影剤は血流に乗り、10秒程度で眼底の血管に届きます。 そして、眼底に青い光を当てると、眼底の血管を通過する色素が蛍光を発して、血管がはっきりと映し出されます。 検査では、「フルオレセイン」と「インドシアニングリーン」という2種類の蛍光色素がよく使われます。 フルオレセインを用いると、網膜の血管の様子が、インドシアニングリーンを使うと、網膜の下にある脈絡膜の血管の様子が、より詳しく観察できます。


■眼圧検査

眼球の内圧(眼圧)を測る検査です。眼圧検査には、いろいろなやり方がありますが、代表的なのは次の2つです。 1つは、「ゴールマン眼圧計」という装置を使った方法です。 細隙灯顕微鏡にセットされた眼圧計のチップを、角膜の接触面が一定の面積になるまで圧迫していきます。 この時の圧力が、眼圧として記録されます。 眼球に直接眼圧計のチップが当たることになりますが、事前に点眼麻酔を行うので、特に痛みはありません。 もう1つは、「非接触型眼圧計」という装置を使った方法です。 眼球に瞬間的に空気を吹き付け、角膜のへこみ具合から眼圧を調べます。 ほんの一瞬、空気を目に当てるだけなので、痛みはありません。 手軽に行えることから、健康診断などでよく用いられます。


■視力検査

基本となるのは、「遠方視力検査」です。これは、遠くを見るときの視力を調べるものです。 まず、片方の目を塞ぎます。次に、大きさの異なる指標が順に並んだ視力表を、5m離れた位置から見ます。 大きい指標から目で追っていき、識別することのできる最小の指標を確認します。それが視力になります。 片方の目を調べたら、もう片方の目も同じように検査します。 なお、視力検査には、レンズをつけずに行う「裸眼視力検査」と、凸レンズや凹レンズなどをつけて行う「矯正視力検査」があります。


■屈折検査

目に入ってくる光は、角膜と水晶体で「屈折」することによって、網膜上で像を結びます。 屈折検査は、近視や遠視といった「屈折異常」の有無や、その程度を調べる検査です。 検査では、「検影器」や、コンピュータで自動的に屈折度を測定する「オートレフラクトメーター」などの装置が用いられます。 これらの値と、検査用レンズをつけて患者さんによく見えるかどうかを答えてもらう「自覚的検査」の値を基に、屈折度数を決定します。


■調節検査

人間の目は、水晶体を厚くしたり薄くしたりすることで、近くの距離から遠くの距離までピントを合わせています。 この働きを「調節」といいます。調節検査では、はっきり見ることのできる距離を測ることで、目の調節力を調べます。 具体的には、「近点計」「アコモドメーター」と呼ばれる装置を用いて、 どの距離まではっきりとみることができるかを測定します。老眼の程度を調べるときなどに、よく使われる検査です。