目の病気『目の仕組みと働き』
目の構造は、「角膜・水晶体」「硝子体」「網膜」から成ります。 角膜・水晶体を通った光は網膜で電気信号に変えられ、左右の目の網膜の電気信号は、大脳の視覚中枢で統合されます。 『目の病気』を理解するためには、 まず障害の起こっている部位が目のどこにあって、どんな働きをしているかを知ることが必要です。 ここでは、目の基本的な仕組みと働きについて説明します。
■角膜・水晶体を通った光は網膜で電気信号に変えられる
目の仕組みは、しばしばカメラに例えられます。
- ▼角膜・水晶体
- 「角膜(黒目)」は透明な組織で、外からの光を屈折させて、目の中に光を送り込みます。 すると、カメラの絞りに当たる「虹彩」が中央にある「瞳孔」を広げたり狭めたりして、目に入る光の量を調節します。 虹彩から続く「毛様体」は「チン小体」という線維を介して、カメラのレンズに当たる「水晶体」と連結しています。 水晶体は、毛様体の筋肉の働きによってその厚みを変えることで、光の屈折を微調整し、ピント調節をしています。
- ▼硝子体
- 水晶体の後ろにある「硝子体」は、ほぼ無色透明のゲル状の物質で、眼球の形を保っています。 また、角膜と水晶体の間は「房水」という透明な液体で満たされています。 房水は、角膜や水晶体に酸素と栄養を供給したり、眼球内の圧力(眼圧)を一定に保つ役目をしています。
- ▼網膜
- 目に入ってきた光は、カメラのフィルムに当たる「網膜」上で像を結びます。 網膜は神経細胞が集まった薄い膜で、物を見るのに非常に大切な部分です。 中でも、網膜の中心部にある「黄斑部」の「中心窩(中央のくぼみ)」は視機能が最も鋭敏な部分です。 黄斑部が障害されると、視力は著しく低下します。
●左右の目の網膜の電気信号は、大脳の視覚中枢で統合される
網膜上で像を結んだ光(色や明るさ、形などの視覚情報)は電気信号に変えられて、「視神経」を経て脳へと送られます。 この道筋を「視路」といいます。視神経に入った電気信号は、まず「視交叉」を通ります。 視交叉では、右目から来た視神経と、左目から来た視神経が一旦1つになります。 そこで、左右の視神経の半分(鼻側)は交差し、もう半分(耳側)は交差しないまま、伸びていきます。 そして、電気信号は「視索」を通り、間脳の視床にある「外側膝状体」に運ばれます。 外側膝状体を通過した電気信号は、放射状に広がる「視放線」という神経繊維の束を通って、 ようやく大脳の後頭葉にある「視覚中枢」に辿り着きます。 ここで初めて、左右の目に入った視覚情報が1つに統合され、物を”見る”ことができるのです。