めまい体操②

めまいの新リハビリ体操は発症しやすい状況別に坐る・立つ・寝るの姿勢で1回10分行うだけ。


■めまい体操②

以下は、某病院医師の治療談です。


●平衡機能を担う小脳の訓練でめまいが退く

めまい治療では、薬物療法が必要になります。しかし、薬を飲んで安静を保っているだけでは治らない、 ということも同時に言えるのです。めまいやふらつきが起こった時のことを思い出してください。 後ろを振り返ったとき、階段を上り下りしていた時、寝返りを打った時など、特定の動作や状況でめまいが起こりやすいことに 気付くはずです。めまいを起こす動作や状況は人によってそれぞれ違うのに、標準的な薬を処方するだけで、 全てのめまいが治るとは思えません。
私がめまい治療に理学療法を取り入れたのは、めまいを引き起こす個別の状況や動作に対して、適応力をつけてもらうためです。 そのために鍛えなければいけない部位が、後頭部の奥にある小脳です。 めまいは平衡機能に支障を来し、バランスをうまく取れなくなることで起こります。 平衡機能は、目(視覚)、足裏(深部間隔刺激)、耳の三半規管(平衡感覚)などの情報を小脳が集約することで発揮され、 いわば小脳が平衡機能の司令塔ともいえる役割を担っているのです。 例えば、フィギュアスケートの選手はクルッと回転しながらジャンプしたり、 氷上を高速でスピンしてからピタッと止まることもできます。 これは小脳が著しく発達したことによって可能になる技術ですが、すべては訓練の賜物なのです。


●苦手な体操を繰り返し、改善後も毎日続けよう

皆さんの場合も、小脳を鍛えることで平衡機能は向上します。もちろん、年齢や体力の問題があるのでフィギュアスケート選手の レベルまでとはいきませんが、めまいがしなくなるレベルの平衡機能ならそれほど困難ではありません。 脳は訓練を続けることで、いくつになっても学習することが証明されており、これは小脳にも当てはまります。 ここで紹介するリハビリ体操も小脳の学習を促すのに効果的で、めまいが起こりやすい状況や動作に対して、 バランスの左右差を調節する小脳の平衡機能を改善させます。 具体的なやり方は次ページから紹介しますが、その前にリハビリ体操を行う上でのポイントと注意点を述べましょう。

▼朝食前と夕食前に1日2回を目安に行う
リハビリ体操は1回5~10分程度で1日に少なくとも2回行うのが目安です。朝食前と夕食前はめまいが起こりやすいので、 あえてその時間帯に行った方が予防効果は高まります。 他にもめまいの起こりやすい時間帯があれば、その時間帯も体操を行いましょう。 ただし、吐き気がする場合もあるので、食後1時間はさけてください。

▼声を出しながら行う
前ページでも述べたように、体操の一つ一つの動作で「いち」「に」「さん」・・・・・と声を出しながら行います。 また、気分が落ち込んでいるときは、リハビリ体操を始める前に「私はめまいを治す!私はめまいに負けない!」 「私はふらつきを治す!私はふらつきに負けない」と掛け声を出せば、がぜん、やる気が湧いてきます。

▼めまいがしても毎日続ける
最初はめまいがぶり返すこともありますが、体操に慣れるためには、避けて通れない通過点です。 軽いめまいやふらつきなら心配せずに続けてください。ただし、今まで経験しなかったような激しいめまいや嘔吐、 頭痛が起こった場合は中断して医師の診察を受けましょう。

▼苦手な体操こそ毎日行う
リハビリ体操を試すと、苦手な動作や気持ち悪くなる動作も出てきますが、その動作こそめまいを起こす原因になっているので、 それを多めに繰り返し、毎日続けてください。

▼めまいの改善後も継続する
多少、めまいやふらつきが和らいだからといってリハビリ体操をやめてしまうと、1週間ほどで再発することもあります。 めまいの改善後も、1日にわずか10~20分の体操を行うかどうかが、完治と再発を分ける決定的な差になるのです。

●日頃から体調管理に注意しめまいに備える

以上のポイントに注意して、リハビリ体操を始めましょう。リハビリ体操は、座る・立つ・寝るの3つの姿勢に分かれており、 それぞれめまいが起こりやすい動作や状況別に効果的な体操を紹介しています。
なお、めまいを招きやすい生活上の要因として、次のようなことも挙げられます。

  • ①睡眠不足
  • ②風邪などの体調不良
  • ③寒さや低気圧が接近している天候
  • ④忙しい行事などの後の疲れ
  • ⑤家族の病気などのストレス
  • ⑥人込み、特にデパートの特売場やラッシュ時の電車・バス、電車からの景色
  • ⑦生理の前後、更年期の時期

天候や生理現象など避けられない要因もありますが、その場合は特に体調管理に注意して、めまいに備えてください。