アサイベリーが3大網膜疾患を回避する
近年、目の病気が増加傾向にある中で、岐阜薬科大学・薬効解析学研究室の研究グループが、 3大網膜疾患(緑内障・糖尿病性網膜症・加齢黄斑変性症)に対する 網膜の神経細胞と血管を守る天然色素『アントシアニン』の有効性を実験で初めて証明しました。 アントシアニンは、ブルーベリーやアサイベリーなどに含まれる青紫色の色素成分です。 ここでは、アントシアニンを摂取することで3大網膜疾患が治癒した実験例をご紹介しましょう。
■アントシアニン
視野・視力を保持する有用成分として期待
目の健康を守るうえで、紫色・青色・濃い赤色の植物や葉に多く含まれる『アントシアニン』という色素 の働きに注目が集まっています。加齢とともに患者数が増える緑内障、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症は、 発症のメカニズムは異なっても、いずれも網膜を損傷して視野や視力を減退させる「網膜疾患」です。 これまでの研究から、「アントシアニンには網膜の神経細胞や血管を保護する作用がある」ことが明らかになっています。 失明にも及ぶ網膜疾患を防いだり、進行を遅らせるための有用成分として、大いに期待が寄せられているのです。
●緑内障に対する効能
酸化ストレスによる網膜の細胞死を防ぐ
緑内障は高い眼圧(眼球内の圧力)の影響で網膜細胞が死んだり、視神経が障害を受ける疾患と一般に知られています。 しかし、日本人の場合、眼圧は正常でも視界が損なわれる「正常眼圧緑内障」の症例が多いことが最近わかってきました。 正常眼圧緑内障の大きな要因の一つに指摘されているのが、網膜細胞の酸化ストレス(加齢や紫外線による老化)です。 ある実験で、ラットの網膜細胞に酸化ストレスを増やす物質を加え、細胞の4割が死滅した状態にした後、アントシアニンを 投与する試験が行われました。その結果、神経細胞のそれ以上の死滅を防ぐことができたのです。 酸化ストレスを緩和して緑内障の視野欠損を予防するアントシアニンの有用性が示されたと評価できます。
●糖尿病性網膜症に対する効能
網膜の浮腫と出血を招く血管新生を抑制する
網膜の血管は人体で最も細く薄いために、糖尿病による血管障害の影響が大きく現れます。
血流が詰まって、その部分の血管が破れて出血をするのです。
この時、血流を補うために新しい血管が作られること(血管新生)が、網膜の浮腫を引き起こします。
水にぬらして乾かした紙のように、網膜がむくんでシワシワになるわけです。
この新しい血管は急ごしらえのため非常に破れやすく、網膜の出血を拡大させる誘因となることも大きな問題です。
こうして視力低下が進行するのが糖尿病性網膜症であり、この疾患についてもアントシアニンがどのような効用を果たすかが
検証されました。実験ではまず、ヒトの血管様細胞に血管を増やす物質を加えて、血管の数を2.5倍に増殖させました。
糖尿病性網膜症で血管新生が起きている状態を、人工的に作り出したのです。
これにアントシアニンを投与したところ、血管の増殖が抑えられることが確認できました。
アントシアニンには、血管新生に関わるVGEF(血管内皮細胞増殖因子)の活動を抑える作用があると考えられ、
同様の成果はマウスの網膜を用いた実験でも得られています。
●加齢黄斑変性症に対する効能
紫外線の光障害による細胞の死滅を抑える
黄斑は網膜の中心にあり、形、色、明暗を識別する最も鋭敏な部分のこと。この黄斑に障害が起きて、視力が著しく損なわれる 病気が加齢黄斑変性症です。加齢黄斑変性症で、特にドライ(萎縮)型と呼ばれるタイプは、太陽光の紫外線など光障害によって 黄斑部の細胞が委縮(縮んで死ぬ)することが原因といわれます。 事実、網膜の細胞に紫外線を照射する実験を行ったところ、約80%の細胞が死滅しました。 しかし、アントシアニンを投与することで細胞の死滅を約50%に抑えることができたのです。 また、ウェット(滲出)型という加齢黄斑変性症では、黄斑部に血管新生が起きて出血することから視力低下を招きます。 ドライ型からウェット型に移行するケースもあります。 先にも述べたとおり、アントシアニンにはVGEFの活動を阻害して、血管新生を抑える作用があることから、 ウェット型の黄斑変性への有用性も期待できるといえるでしょう。