加齢黄斑変性症の治療
『加齢黄斑変性』の治療では、病変が黄斑部の「中心窩」にあるのか、離れた位置にあるのかが問題になります。 視力を大きく左右する部位だけに、慎重に治療が行われます。 「滲出型」で、病変が中心窩から離れている場合は「レーザー治療」 「滲出型」で、病変が中心窩にある場合は、「PDT(光線力学療法)」が現在の主流です。 また、「萎縮型」の場合は、「経過観察」が行われます。
■レーザー治療
病変が中心部から離れている場合に行われる
新生血管に強いレーザーを直接当てて、焼きつぶす治療法です(下図参照)。 点眼麻酔をして、特殊なコンタクトレンズを装着します。 そして、事前に確認しておいた新生血管に狙いを定めて、レーザーを照射します。 新生血管をつぶすと、むくみや出血は起こらなくなるので、症状の進行が抑えられます。 また、新生血管から染み出た水分や出血が吸収されれば、視力の回復も期待できます。 レーザー治療に数十分程度かかりますが、治療は1回で終了し、入院の必要もありません。 しかし、強力なレーザーを当てるため、新生血管の周りの正常な「視細胞」や「網膜色素上皮細胞」も 壊死してしまいます。そのため、レーザー治療は、新生血管が中心窩から離れている場合でないと行われません。
●視野の一部に「暗点」ができる
レーザーで正常な視細胞や網膜色素上皮細胞が破壊されると、その部分は光を感じることができなくなります。 これを「暗点」といいます。他の人の顔や景色などを見たときに、視野の中心部のすぐ横に何も見えない部分が生じますが、 中心窩は保たれているので、見たいものは見ることはできます。