緑内障の治療

緑内障』の緑内障の治療法には、「薬物療法」「レーザー治療」「手術療法」の3つがあり、治療は緑内障のタイプごとに異なります。 全体の7~8割を占める「原発開放隅角緑内障」では点眼薬を使った薬物治療が、「原発閉塞隅角緑内障」では、レーザー治療が中心になります。 また、薬物療法やレーザー治療では不十分な場合などに、手術療法が選択されます。


■薬物療法

●点眼薬を使って眼圧を下げる

原発開放隅角緑内障では、”眼圧が高い緑内障”も”眼圧が正常範囲内の緑内障”も、点眼薬を主体とした薬物療法が基本になります。 治療に使われる薬は、「房水が作られるのを抑えて眼圧を下げる薬」と、「房水の排出を促進して眼圧を下げる薬」 の2つに大別できます。さらに、この2つのタイプの中に、薬の効く部位や作用の仕方が異なる薬が複数あります。 効果を見ながら、作用の違う薬を組み合わせて点眼を続け、眼圧をコントロールしていきます。


●点眼薬の種類

主な点眼薬は次の7種類です。

▼プロスタグランジン関連薬
現在、眼圧を下げる効果が一番高い薬として、最も深く使われています。 房水の約9割は、「線維柱帯」から「シュレム管」を通って排出されますが、この経路とは別に、 「毛様体」の隙間から「強膜」へと流れ出る排出路があります。 プロスタグランジン関連薬は、房水が強膜へ排出されるのを促す薬です。
副作用については、全身に影響を及ぼすものはほとんどありません。 ただし、点眼した方の目の虹彩に色素沈着が見られたり、 まつ毛が増えたり、瞼が黒ずんだり、上瞼がへこんだりと、目やその周りに局所的な副作用が起こることがあります。

▼β遮断薬
房水は、毛様体にある「β受容体」が刺激されて作られることがわかっています。 このβ受容体への刺激を遮断することで、房水の産生を抑えるのがβ遮断薬です。 眼圧を下げる効果は高く、目への局所的な副作用も少ないのですが、心臓の拍動が遅くなる「除脈」や、 「喘息」などを招くことがあります。

▼α1-β遮断薬
β遮断薬の”房水の産生を抑える”働きと、「α1遮断薬」の”房水の排出を促進する”両方を兼ね備えた薬です。

▼炭酸脱水酵素阻害薬
網様体にある「炭酸脱水酵素」も、房水の産生に関わっています。 この酵素の働きを阻害することで、房水が作られるのを抑えるのが炭酸脱水酵素阻害薬です。 本来は内服薬として用いられていた薬ですが、全身的な副作用が多く、その副作用を軽減するために、点眼薬が開発されました。 眼圧を下げる効果は内服薬と比べるとやや劣りますが、全身的にも局所的にも副作用が少ない点眼薬です。

▼α1遮断薬
本来は血圧を下げる薬ですが、眼圧を下げる効果もあることがわかっています。 房水を強膜へ排出するのを促していると考えられていますが、眼圧を下げる効果は高くはありません。 全身的・局所的な副作用の少ない薬です。

▼交感神経刺激薬
房水の産生を抑える薬です。「結膜アレルギー」「口の渇き」「頭痛」などの副作用があります。 瞳孔を開く(散瞳)効果があるので、原発性閉塞隅角緑内障で、レーザー虹彩切開術を受けていない人は使えません。

▼副交感神経刺激薬
「毛様体筋」を収縮させることで、線維柱帯の網目が開いて、房水の排出が促進されます。 目への局所的な副作用として、「ものが暗くてぼやけて見える」「近視が進む」「充血」「涙目」などが挙げられます。

●複数の薬を点眼するときは、5分以上あけてから

点眼薬の効果を高めるためには、正しい点眼の仕方を覚えることが必要です。 まず、下瞼を指で軽く下に引き、そこに薬を1滴だけ落とします。 薬が入ったら、目全体に薬が行き渡るようにゆっくりと目を閉じます。 その際、3分以上、指で目頭を軽く抑えると、より効果的です。 こうすることで、薬が全身に回るのを防ぎ、全身的な副作用を軽減できます。 複数の薬を使う場合は、必ず5分以上間を空けます。これは、前に使った薬が浸透せずに流されてしまうのを防ぐためです。