メニエール病対策②『足裏揉み』

西洋医学では、メニエール病が起こる原因として、内耳のリンパ液の過剰な増加が指摘されています。 一方、東洋医学では、メニエール病などの耳の不調を招く原因に「むくみ体質」があると考えられています。 むくみ体質に陥った状態を、東洋医学では「水毒」と呼んでいます。 体内を巡っているとされる「津液」という水分の循環が何らかの原因で滞り、津液の分布や代謝、分泌などに異常が起こった状態が水毒です。 水毒では、体の中に余分な水分や老廃物が蓄積されるため、体の様々な部位に悪影響が及びます。 水毒における典型的な症状として確認されているのが、排尿の異常や口の渇き、関節痛、そして耳鳴り・難聴・めまいなどの不調です。 西洋医学でいう内耳のリンパ液の過剰な増加は、言い換えれば内耳のむくみと表現できます。 こうしたむくみも、むくみ体質によるものと考えることができるでしょう。


■足裏揉み

足裏は全身の血流を促す急所

メニエール病などの耳の不調を招くむくみ体質を正すには、血液の循環を促して滞った水分や老廃物の排出を促す必要があります。 血液には酸素や栄養を運ぶ役割と共に、体内の不要な水分や老廃物を回収する役割もあるからです。 滞った血流を自分で簡単に促す方法としてお勧めなのが、手指や器具を用いて行う 足裏揉みです。 心臓から送り出された新鮮な血液は、酸素や栄養を運ぶために動脈を通って手先や足元などの末端にまで到達します。 そうして末端まで行き渡った血液は、余分な水分や老廃物を回収し、静脈を通って再び心臓に戻らなければいけません。 ただ、特に体の一番下にある足先では、重力に逆らって血液を心臓まで押し上げなければいけないため、 血流が滞りがちになります。足首や脛などにむくみが現れやすいのもこのためです。 足の血流が衰えれば、当然、その影響は下半身、さらには全身へと及び、体内の血液の循環が滞ることになります。 そこで行ってほしいのが足裏揉みです。足裏揉みで足裏の筋肉を刺激すれば、筋肉も動きによるポンプ力が生み出され、 滞った血液が流れやすくなります。そうして足の血流が促されれば、全身の血流の循環も改善し、 結果としてむくみ体質も正されていくというわけです。



●むくみ体質を招く腎虚の改善にも有効

足裏揉みのやり方はいたって簡単です。椅子や床に座り、足裏全体を手指を押し揉みしたり、拳で叩いたりするだけです。 足裏刺激用の木槌などの器具を用いてもいいでしょう。青竹踏みを行うのも効果的です。 足裏揉みでは、1回に付き左右の足裏をそれぞれ3分ほど刺激してください。 1日2回、起床時と入浴後に行うといいでしょう。

なお、足裏揉みには、足裏に分布する「反射区」を刺激できるという長所もあります。 反射区とは、体の各臓器の働きに対応する足裏部位のことで、東洋医学でいうツボとよく似た働きを備えています。 つまり、ある反射区を刺激することで、それに対応する臓器を元気づけ、不調を改善に導けるというわけです。 むくみ体質の改善に有効なのは、腎臓に対応する反射区の刺激です。 腎臓とむくみ体質の関係については次頁で改めて述べますが、腎臓は津液の代謝を担っており、腎臓が衰えた「腎虚」 の状態に陥るとむくみ体質を招くことになるのです。 足裏揉みで足裏全体と共に腎臓の反射区を意識して刺激すれば、腎虚の改善効果も得られ、 むくみ体質を正す働きもグッと大きくなります。 足裏揉みを毎日の習慣としてむくみ体質やメニエール病など耳の不調の撃退に役立ててください。