白内障の検査と診断
①「問診」や「細隙灯顕微鏡検査」で白内障があるかどうかを調べる。
②「眼圧検査」や「眼底検査」を行い、他の病気がないかを調べる。
■検査と診断①
白内障があるかどうかは、「細隙灯顕微鏡」という装置を使って、水晶体の透明度を調べればわかります。 ただし、目のかすみや視力低下などの症状は、多くの目の病気で起こり得るものです。 従って、その症状が本当に白内障によるものかどうかを調べたうえで、確定診断がなされます。
●問診
最初の診察で医師に聞かれること、あるいは、患者さんから伝えるべきことは次のような点です。
- ▼症状が現れた時期
- ▼症状が現れる前の視力(眼鏡やコンタクトレンズで矯正したもの)
- ▼他に病気はあるか(高血圧、糖尿病、アレルギーなど)
- ▼目の病気やけがをしたことはあるか
- ▼服用中の薬はあるか
これらの内容は、白内障の診断や治療を進めるうえで、重要な情報になります。 診察時に医師にうまく伝えるためには、事前に伝えるべき点をメモなどに整理しておくのも1つの方法です。
●視力検査
一般に、遠くを見るときの視力を調べる「遠方視力検査」が行われます。 レンズをつけて測る「矯正視力」が落ちている場合には、白内障や網膜の障害などが考えられます。
●細隙灯顕微鏡検査
白内障を診断するのに欠かせない検査で、細隙灯顕微鏡という装置を使って行われます。 暗い室内で、患者さんの目に細かい光の束を斜めの方向から当てて、眼球内の異常や病変の有無を調べます。 水晶体の透明度が確認でき、どの部位がどの程度濁っているのかもわかります。
■検査と診断②
白内障以外にも目の病気がないか、次のような検査を行って調べます。
●眼圧検査
通常、「眼圧検査」は、緑内障を診断するために行われる検査です。 ただし、かなり進行した白内障では、水晶体が膨らんで眼圧が下がり、 緑内障を併発することがあるため、眼圧検査が行われます。 また、白内障の検査や治療では、しばしば瞳孔を開くための「散瞳薬」が使われますが、 緑内障の人に散瞳薬を点眼すると、急激に血圧が上がってしまう危険性があります。 この散瞳薬による緑内障の発作を防ぐという意味でも、あらかじめ緑内障の有無を調べておく必要があります。
●眼底検査
「眼底検査」は、眼球の奥にある網膜などの状態を調べる検査です。「倒像鏡」という検査用のレンズや、 細隙灯顕微鏡を用いて行われます。視力の低下は、網膜に障害がある場合にも起こります。 そのため、白内障であるかを鑑別するには、眼底検査も欠かせないのです。 ただし、水晶体の濁りが強く、眼底がよく見えない場合は、代わりに次のような検査が行われます。
- ▼超音波検査
- 瞼の上から超音波を発信する器具を当て、眼球の内部を画像化して調べます。
- ▼網膜電位図検査
- 網膜は、目に入った光を電気信号に変えて、脳に伝えています。網膜電位図検査は、この網膜の電気的な反応を波形として 記録するもので、その波形の大きさや形から、網膜の状態を判断します。 実際には、点眼麻酔をした後にコンタクトレンズの形をした電極を角膜に乗せ、目に光の刺激を与えて測ります。