白内障の治療

経過観察、薬物療法、手術の3種類

白内障の治療の目的は、水晶体の濁りを取って、視力低下などの症状を改善し、日常生活の不自由さを解消することにあります。 現在のところ、薬物による治療では、一旦濁った水晶体を元の透明な状態に戻すことはできません。 白内障を根本から治すには、濁った水晶体を取り除いて、代わりに「眼内レンズ」を挿入する手術を受ける必要があります。 ただし、白内障と診断されたら、すぐに手術を受けなければならないかというと、そうではありません。 急いで手術を受けなければならないケースは少数で、患者さん自身が、日常生活に不自由さを感じるようになってから手術を受ければよいケースがほとんどです。


■治療法は大きく分けて3種類

患者さんの視力低下の程度や、どのくらい生活に支障があるかによって、次の3種類から治療法が選択されます。

▼経過観察
定期的に眼科を受診して、白内障の状態をチェックします。

▼薬物療法
点眼薬を用いて、白内障の進行を少しでも遅らせます。

▼手術
濁った水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズを挿入します。

これらの治療法のうち、完治できるのは手術のみですが、手術を受ける前の段階として、患者さんが経過観察や薬物療法を 選ぶことは可能です。白内障の手術は一部のケースを除き、急いで受ける必要はありません。 自分が受けたいと思ったときに受ければよいのです。また、高齢だから一概に手術を受けられないということはありません。 90歳を過ぎてから手術を受ける人もいます。


■経過観察や薬物療法で様子を見る

白内障と診断されても、本人がそれほど生活に支障を感じていなければ、経過観察でしばらく様子を見てもかまいません。 定期的に眼科で検査を受けて、白内障の進行状態をチェックしていきます。

●薬物療法は点眼薬が中心

白内障があっても、視力低下がまださほど現れていない時は、薬物療法が行われる場合があります。 残念ながら、現段階で、白内障を完治させる薬はありません。ですから、薬で白内障の進行を止めることはできませんが、 少し遅らせる効果は期待できます。白内障の薬物療法で用いられるのは、点眼薬が中心です。 なかでも「ピレノキシン」「グルタチオン」などが代表的な薬です。 このうち、ピレノキシンには、水晶体の主成分であるタンパク質の代謝異常を改善させる働きがあり、 初期症状の改善に効果を示すと言われています。


このように経過観察や薬物療法でしばらく様子を見たものの、やはり視力低下が進み、 日常生活に不自由を感じるようになったら、 手術を考えるのが望ましいと言えます。