高尿酸血症(痛風)

高尿酸血症』の状態がある程度長期化すると、 尿酸が結晶化し尿酸塩という形になって、関節や腎臓などに析出してくるようになります。 『痛風』とは、血液中の尿酸が増えすぎたことで、足の指などの関節に激しい痛みが起こるものです。
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高尿酸血症(痛風)

■高尿酸血症の定義

「尿酸」は体内の新陳代謝によって生じる物質で、健康な人の血液中にも溶け込んでいますが、 この血液中の尿酸が多くなりすぎた病態を『高尿酸血症』といいます。 日本痛風・核酸代謝学会が2002年に作成した「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」には、

高尿酸血症とは尿酸の血液中に溶解可能な最大濃度である 7.0mg/dlを正常上限とし、これを超えるものを高尿酸血症とする」

と定義されています。性別・年齢を問わず、血清尿酸値が70mg/dlを超えると「高尿酸血症」と診断され、 「痛風発作」を起こす可能性があると考える必要があります。 尿酸値が高い病態を「高尿酸血症」、発作を起こした病態を「痛風」といいます。 「高尿酸血症」は、尿酸が多くなる原因によって、尿酸を体外へ排出する能力が低下している 「尿酸排泄低下型」、体内で尿酸がたくさん作られすぎている「尿酸産生過剰型」、 この2つが重なっている「混合型」の3つのタイプに分けられます。


■高尿酸血症の原因

肥満や食べすぎなどの生活習慣が尿酸値を上げる

「高尿酸血症」は、遺伝的な要因や体質が深く関係している場合もありますが、 多くの場合、「過食や飲酒、運動不足」といった生活習慣が関係しています。 「痛風」は、欧米では昔からよく知られていた病気で、歴史上の多くの王侯貴族や有名人が 痛風だったという記録が残っており、別名「帝王病、贅沢病」とも言われています。 ところが日本では、痛風の歴史的な記録はほとんどなく、明確な記録が残っているのは明治時代以降のもので、 痛風患者が増えたのは、高度成長期以降です。高度成長期以降、食生活が急速に欧米化し、 それとともに痛風患者が激増しています。 このことから、「痛風」が食生活と密接に関連しているのは明白です。 特に、ビールなどに含まれる「プリン体」は、体内で「尿酸」に変わるため、 ビールをよく飲む人に痛風が多いともいわれています。

血液中の尿酸の濃度を示す「尿酸値」が高い人ほど、痛風発作を起こしやすいといえます。 尿酸値は、ある特定の要因で上がるというわけではありません。 次のような要因が複数重なったり長期間続くことで、尿酸値は徐々に高くなります。

▼肥満
BMI(体格指数)が高いほど、高尿酸血症を起こしやすいことがわかっています。 肥満があると、腎臓で尿酸を排泄する機能が低下して、尿酸が体内にたまりやすくなるためです。 また、高尿酸血症に伴う合併症も起こりやすくなります。 肥満があって尿酸値の高い人は、適切な方法で減量を行うことで、尿酸値が下がることが確認されています。

▼食べすぎ
食事の総量が多すぎると、体内で尿酸がたくさん作られるようになります。 また、プリン体を多く含む食べ物を極端に摂りすぎることも、尿酸値を上げる要因となります。

▼アルコール
よく”ビールはプリン体が多いが、焼酎は少ないから飲んでもよい”といった誤解を耳にしますが、 お酒は、どんな種類であれ体内での尿酸の合成を促す作用があります。 また、大量の飲酒は腎臓の尿酸の排泄機能を低下させます。

▼激しい運動
瞬間的に全力を出すような激しい運動(無酸素運動)は、尿酸値を上昇させます。 また、激しい運動をすると、関節内の結晶が剥がれやすく、発作の引き金になります。

▼ストレス
まだ仕組みは解明されていないものの、ストレスが強いと尿酸値が高くなることがわかっています。 ストレスを受けると体内での尿酸の合成が進むのではないかと考えられています。

●親などに痛風を持つ人がいる場合は注意が必要

親や兄弟姉妹などに痛風・高尿酸血症を持つ人がいると、本人も発症しやすいといわれています。 尿酸値が高くなりやすいという遺伝的要因に加えて、食生活や運動などの生活習慣に共通する部分が多く、 肥満など体型が似てくることが多いのも一因と考えられます。 該当する人は、仮に今まで痛風発作が起きていなくても安心せずに、今から生活習慣を改善するようにしましょう。 また、健康診断を毎年受けて、尿酸値をチェックするようにしてください。


■高尿酸血症を調べる検査

血液検査で尿酸値がわかる
健康診断を毎年受けることが大切

▼問診
「食生活」「飲酒習慣」「ストレスの強さ」「家族の痛風・高尿酸血症の有無」などが聞かれます。

▼触診
足の関節に痛みが起こる病気には、足の親指が小指の方に曲がる「外反母趾」などもあります。 足や膝などの関節に医師が触れ、そのような別の病気との鑑別を行います。

▼血液検査
血液中の尿酸の濃度を調べます。尿酸値が7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます。

▼尿検査
「尿への尿酸の排泄量」を調べて、治療薬を検討します。また、「尿たんぱくの有無」や 「潜血反応」で腎臓や尿路の状態を調べ、合併症の有無を確かめます。

検査の中で、最も重要なのは血液検査です。しかし、痛風発作が起こっているとふだんよりも尿酸値が低く出やすいため、 本当は尿酸値が高いのに、異常がないように見えることもあります。 また、尿酸値が高ければ、例えそれまで痛風発作を起こしていなくても、生活習慣の改善などが必要です。 痛風発作がなくても、毎年健康診断を受けて、ふだんの尿酸値をチェックしましょう。


■高尿酸血症の治療

高尿酸血症の治療法には、「生活療法」と「薬物療法」があります。 基本となるのは生活習慣の改善で、痛風発作の経験がなく、尿酸値もさほど高くない場合は、 生活習慣を見直すことから始めます。一方、痛風発作を何度も起こしたことがある人や、 生活習慣の改善だけでは尿酸値が十分に下がらない場合、合併症がある場合などには、薬物療法の併用を検討します。

【関連項目】:『高尿酸血症(痛風)の治療T 「生活療法」』 『高尿酸血症(痛風)の治療U 「薬物療法」』


●尿酸値

治療では、尿酸値の目標は6mg/dl以下とし、極端に下げることはしません。 健康な人でも、成人男性では血液中に5〜6mg/dlの尿酸があります。 実は、哺乳類の多くは尿酸を分解する酵素をもっており、尿酸がたまることはありません。 ところが、人間などの一部の哺乳類は、進化の過程でその酵素を失い、 血液中に一定量の尿酸が含まれるようになった、と考えられているのです。 そのため、尿酸は単なる老廃物ではなく、抗酸化作用など、体内で何らかの役割を担っていると推測されています。


■高尿酸血症の合併症

血液中の尿酸値が高いと「痛風」「腎障害」「尿路結石」をはじめ、「高脂血症」「高血圧」など、さまざまな病気を併発しやすくなります。

【関連項目】:『高尿酸血症の合併症』