飲酒の危険と健康

多量の飲酒は「アルコール依存症」などいろいろな病気を引き起こします。 その危険性について知っておきましょう。


■アルコールの分解能力には個人差が。飲み過ぎれば酩酊、泥酔、昏睡に

お酒を飲むと血液中のアルコール濃度が上昇し、アルコールが脳に作用することで、脳の活動に影響が現れます。 それが”酔う”という現象です。血液中のアルコール濃度が少し上昇した程度では「ほろ酔い」ですが、濃度が高くなるにつれて、 「酩酊」「泥酔」と進み、さらに高くなれば「昏睡」、そして命に関わることさえあります。 血液中のアルコールは肝臓で分解され、アセトアルデヒドという物質になります。 これがさらに酢酸に分解され、最終的には二酸化炭素と水になります。 ”お酒に強い”人はアセトアルデヒドの分解が速く進みますが、”弱い”人は分解に時間がかかり、 このアセトアルデヒドの作用で顔が赤くなったり、頭痛や吐き気が起こったりするのです。 アルコールの分解能力には個人差があり、体調によっても変化します。 自分の限度を知って、飲酒するときも、ほろ酔い程度に留めましょう。

◆「一気飲み」も危険

お酒は多量に飲むのも危険ですが、”一気飲み”のように短時間で飲むのも危険です。 2時間程度で、ビールなら500mL缶を2.5本(女性は2本)、日本酒なら2.5合(女性は2合)のペースを超えて飲むと、 急性アルコール中毒などの危険性が高くなります。


■アルコール依存症は重大な病気。サインを見逃さない

多量の飲酒はさまざまな病気の原因となりますが、最も重大なのが「アルコール依存症」です。 依存症に至ると、毎日飲酒せずにはいられなくなり、飲む量を自分でコントロールできなくなります。 その結果、健康や日常生活に支障が現れても、飲酒をやめられなくなります。 これは、アルコールに関する脳の”ブレーキ”が壊れた状態といえます。 アルコール依存症は鬱病を合併していることが多く、 このような場合、飲酒が自死の引き金になることがあります。 アルコール依存症の患者さんは、全国で100万人以上いるとされていますが、治療を受けている人は5%ほどしかいません。 アルコール依存症のサインに気付き(下参照)、早目に医療機関を受診しましょう。 治療の基本はかつては完全に飲酒を断つ「断酒」でしたが、近年、飲酒量を減らすことでもある程度有効だとわかってきました。 今年(2019年)登場した「ナルメフェン」という薬には、お酒を飲みたい気持ちを抑える作用があり、 飲酒の1~2時間前に服用すると、飲酒量を減らす効果があります。

◆アルコール依存症のサイン

  • ▼お酒に強くなり、飲む量が増えている
  • ▼「ほろ酔い」では飲んだ気がしない
  • ▼お酒を飲んで記憶を失うことがある
  • ▼お酒を飲むことを優先した生活をしている

◆肝臓の病気、癌、認知症にも関係

多量の飲酒は、他にもいろいろな病気の原因となります。まず、アルコールを分解する肝臓にダメージを与え、肝硬変などを引き起こします。 口腔癌、喉の癌(咽頭癌、喉頭癌)、食道癌、肝臓癌、 大腸癌乳癌などの癌にも関係しています。 また、アルコールで問題を抱えている人は認知症を発症しやすいことが報告されています。 病気以外にも、暴力的になる、事故を起こしやすくなることなどで、仕事や日常生活に支障を来す場合があります。


■適度な飲酒量は、男性で1日20g、女性はこれより少なめに

「お酒はほどほどに」とよくいわれますが、節度ある適度な飲酒量とは、男性で1日に純アルコール量で20g程度、女性や高齢者はそれより少なめとされています。 もちろん飲酒による病気がある人には、飲酒は勧められません。また、他の病気がある人も、医師の指示に従ってください。 男性で1日20g程度が適度な飲酒量とされるのは、大規模な疫学研究で、1日20g程度の飲酒量の人の死亡リスクが最も低かったためです。 男性の場合は1日40g、女性の場合は1日20gを超えると、生活習慣病のリスクが高くなることもわかっています。

◆”休肝日”を設けて「楽しく飲む」

飲酒しない”休肝日”は、肝臓を休ませること、飲酒量の総量を減らすことに役立ちます。 最初は週に1日設けるようにします。また、ストレスの解消や眠りに就くことを目的とした飲酒はやめましょう。


【飲酒ゼロがよい?】
従来、”適度な飲酒は健康によい”とされていました。適度にお酒を飲む人のほうが、全く飲まない人よりも死亡率が低いという調査結果があったためです。 しかし、最近になって、195の国と地域の飲酒に関する研究を総合的に解析したところ、病気やけがなどのリスクが最も低くなるのは 「飲酒ゼロ」のケースであるという結果が出されました。 この結果を受けて、”適度な飲酒”が直ちに否定されるわけではありませんが、わずかな飲酒でもリスクになる可能性があることは、 知っておいたほうがよいでしょう。


適度な飲酒量