外反母趾の予防と治療

外反母趾』は、体質や脚に合わない靴などの影響で発症します。 足の親指に変形が起こり、進行すると腰などにも影響が及びます。 予防のためには、足に合う靴を選び、適切な運動を行うことが大切です。


■外反母趾とは?

足指の変形に始まり、膝や腰にまで影響が及ぶ

『外反母趾』とは、足の親指(第一趾)の付け根が内側にせりだし、親指の先端が隣の第二趾に向かって曲がる病気です。 親指の付け根の出っ張った部分が靴に当たって痛むのが、最初の症状です。進行して、親指の付け根が大きく変形すると、 親指に力が入らず、「立ちにくい」「歩きにくい」など、足の機能に影響が現れます。 そのため、不自然な動きをするようになると、足首や膝、腰などの足と離れた部位にまで痛みが現れることがあります。 外反母趾を発症するのは圧倒的に女性が多く、65歳以上の女性の3人に1人に外反母趾があるといわれています。 男性は、女性の1/10くらいです。


●発症の要因

外反母趾が起きる要因には、体質が大きく関係していると考えられています。 「脚の幅が広い」「偏平足である」「親指周りの関節が非常にやわらかい」「親指が第二趾より長いエジプト型である」 などの体質がある人には、外反母趾が起こりやすいといわれています。 このような体質を持っている人が、「先が細い靴」「ハイヒール」など、足に合わない靴を長く履いていると、 さらに外反母趾が起こりやすくなります。 外反母趾に対する靴の影響は大きく、先の細い靴を履いたときのエックス線写真を見ると、親指の付け根が曲がっていることが わかります。また、中には靴の影響がなく、体質だけが原因で外反母趾が起こる人もいます。 体質的に当てはまらない人でも、年齢が高くなるにつれて足を支える機能が衰え、そこに靴の影響が加わって 外反母趾が起こることもあります。20歳代くらいまでに発症する外反母趾では、体質の影響が多いとされています。 すでに症状が起こっている人や、外反母趾が起こっているかもしれないと不安な人は、足が専門の整形外科医がいる 医療機関を早めに受診することが勧められます。 足に詳しい医師がいる医療機関は、「日本足の外科学会」のホームページで見ることができます。




■外反母趾の治療

手術により、根治を目指すことができる

外反母趾の根治を目指すには、手術が必要になります。 一般には、親指の中足骨を横に切って、切った上部を本来あるべき位置に戻して、固定します。 手術後は、骨が接合するのに約2ヵ月間、腫れが完全に引くまでの期間を入れると約3ヵ月間ぐらいかかります。 その間、立ち仕事ができないなど、日常生活に支障が出る場合がありますので、事前に担当医とよく相談することが勧められます。

●装具療法

外反母趾が起こると、足の親指が体重を支えにくくなり、第二趾や第三趾に負担がかかります。 そのため、第二趾や第三趾の足裏にタコができて、歩くときに痛む場合があります。 このような痛みを軽減させるために、靴の中に敷く「中敷き」を、自分の足に合わせたオーダーメイドで作る「装具療法」 を行うことがあります。中敷きは、整形外科で義肢装具士が作成します。原則として、健康保険が適用されます。


■外反母趾の予防

”足に靴を合せ”、適切な運動を行う

外反母趾を予防するポイントは、「靴の選び方」「運動」です。

●靴の選び方

外反母趾を起こさないためには、”靴に足を合せる”のではなく、”足に靴を合せる”ことが大切です。 足幅が広がり過ぎたり、足が靴の中でずれたりしないためには、「きつ過ぎず、緩過ぎず」という靴を選ぶことが大切です。 つま先は細くなく、「自然な足なりか四角いもの」がよく、足指が動くように、親指の先端との間にやや「隙間があるもの」で、 足が靴の中で前に滑らないように「ヒールの高さは5cm以内」の靴を選ぶことが勧められます。 材質は、「柔らかめ」のものを選ぶと、靴が足の形に馴染んでくれます。 良いのは「ひも靴」で、ひもを調節することで足幅に合わせることができ、靴の中で足がずれにくくなります。 ”窮屈な靴は親指の付け根が当たって痛いから”といって、緩過ぎる靴を履く人がよくいますが、 緩過ぎる靴は、靴の中で足が広がり、逆に外反母趾を悪化させる原因になります。 足は、指の付け根部分が広がるにつれて、親指が第二趾の方へ曲がる構造になっているからです。 すでに外反母趾が起きていて、足に合う靴が見つからない場合には、靴を部分的に伸ばす「シューストレッチャー」 という道具を使う方法もあります。この道具が置いてある靴店で広げてもらったり、市販品を使用して、 自分で広げることもできます。


●運動

適切な運動を行うことにより、外反母趾の発症を予防したり、すでに起きている外反母趾の進行を食い止めることができます。 運動は、早い段階から行うことが勧められます。軽度から中等度程度の外反母趾の場合、きちんと運動を行うと、 曲がった角度がやや改善するといわれています。角度があまり改善されなくても痛みが軽減する場合もあります。 今回は、2つの運動をご紹介します。

▼母趾外転筋運動
足の筋肉のうち、足の親指を正常な方向へ開く働きを持つ「母趾外転筋」を鍛える運動です。

▼親指の関節を柔らかくする運動
親指の付け根の外側にある腱を柔らかくする運動です。 軽度から中等度であれば、曲がった角度を和らげる効果があり、進行を妨げます。