高尿酸血症・痛風対策
『高尿酸血症』は生活習慣病の一つです。 そのため、尿酸値を下げるには、薬を飲んでいたとしても、生活習慣の改善が必要になります。 尿酸値をコントロールするポイントを知り、生活習慣の改善に努めましょう。 生活習慣の改善は、「食生活(肥満の解消)」「運動」「ストレス解消」の3点を改善することです。 食生活の改善では、「1日の総摂取エネルギーを減らす」「プリン体を多く含む食品を控える」「節酒する」「尿をアルカリ化する食品を摂る」 「水分を多めに摂る」など。運動では「激しい運動は避ける」「日常生活での運動量を増やす」など。 ストレス解消は「尿酸値を上げるようなストレス解消法を改める」こと、などがポイントになります。
■高尿酸血症と生活習慣
尿酸値の上昇には生活習慣が大きくかかわっている
尿酸値が高くなる主な原因は、生活習慣にあります。 現在では薬が改良され、尿酸値を下げる優れた効果のある薬も使われていますが、 尿酸値が高くなった背景にある生活習慣の問題を解決しない限り、薬の服用を止めると、また尿酸値が高い状態に戻ってしまいます。 尿酸値を確実に下げるには、「生活習慣の改善」に取り組むことが何よりも大切です。 痛風・高尿酸血症の薬物療法は、長くて一生、短くても5~10年続けることが必要です。 しかし、生活習慣を改善することで、薬の量を減らしたり、服用しなくてもよくなったりする場合もあります。
生活習慣の改善で、まず目標にしたいのは「肥満の解消」です。 ”尿酸値の高い人には必ず肥満がある”というわけではありませんが、 実際に肥満を併せ持つ人は少なくありません。 高尿酸血症と肥満を併せ持つ人の多くは、体重が減れば尿酸値も下がります。 痩せていて生活習慣にも特に問題がないのに高尿酸血症がある人は、薬を使わざるを得ません。 しかし、肥満を伴っている人は生活習慣の改善と減量をするだけで、尿酸値の低下が期待できるのです。 肥満を解消するポイントは、「食生活」「運動」「ストレス」の3点を改善することです。
■食生活改善のポイント
プリン体を多く含む食品を控え、尿をアルカリ化する食品を摂る
食生活を改善するときは、食事の量と内容を中心に見直します。
- ▼1日の総摂取エネルギーを減らす
- 高尿酸血症のある人の多くは、食べ過ぎの傾向があります。 なかには1日に必要なエネルギーの倍近くの量を食べている人もいます。 使われなかった余分なエネルギーは、体内に蓄積されて脂肪となり、肥満を招きます。 自分にとってちょうどよい摂取エネルギー量の目安を知り、食べ過ぎないように心がけてください。
- 【適切な摂取エネルギー量=標準体重(kg)×25~30(kcal)】
- 【標準体重=身長(m)×身長(m)×22】
- ▼プリン体を多く含む食品を控える
- 尿酸の元になるプリン体を摂り過ぎないようにします。 プリン体は「動物の内臓、魚の干物」などに多く含まれています。 摂取してもよいプリン体の量の目安は、1日400mgまでとされています。 ただし、プリン体のほとんどは体内で合成されたものです。 こうした食品は”毎日たくさん食べる”など極端に摂取すれば問題ですが、たまに摂る程度なら問題はないでしょう。 それよりも、食事の総量が多いと、合成されるプリン体も増えてしまいます。 食事の総量が多くなりすぎないように気をつけることが大切です。
- ▼節酒する
- お酒は、種類に関係なく、摂取量が多いほど尿酸値も上昇します。 できれば禁酒することが理想ですが、仕事上の付き合いなどでどうしても難しいこともあるでしょう。 そのような場合は節酒を心がけ、適量を楽しむようにしてください。 ただし、「痛風発作」が起こっているときには禁酒が必要です。
- ▼尿をアルカリ化する食品を摂る
- 尿酸は、尿の酸性度が高いと尿中に溶けにくいため結晶化しやすくなり、反対に尿のアルカリ度が高いと 溶けやすくなるので、体外に排泄されやすくなります。 尿をアルカリ化することは、尿酸の結晶化を防ぎ、「尿路結石」の予防に繋がります。 尿を酸性化する動物性たんぱく質を摂り過ぎないようにして、 尿をアルカリ化する「ヒジキ、 ワカメ、コンブ」 などを積極的に摂るようにしましょう。
- ▼水分を多めに摂る
- 水分を多く摂ると、尿の量が増えて尿が薄くなり、尿酸が溶けやすくなります。 あまり水分を摂らない人もいますが、水分が不足していると尿酸値が高くなってしまいます。 スープなどの食事に含まれる水分も合わせて、できるだけ水分を1日に2リットル以上摂るように意識してください。 摂取する飲み物は、水やお茶など、エネルギーを含まないものにしましょう。
■運動のポイント
激しい運動は避ける
日常生活でも運動量を増やす
運動は、肥満の解消や高尿酸血症の予防に効果的です。 しかし、息切れするような運動や「筋力トレーニング」などの「無酸素運動」は返って尿酸値を上げてしまいます。 肥満解消のためにも 「ウォーキング」など、呼吸をしながら行う「有酸素運動」を毎日続けましょう。 運動をする習慣を付けるだけでなく、”階段を使う”など、日常生活の中でも運動量を増やす工夫をしましょう。 運動を長続きさせるためには、たとえば歩数計を使用したりして運動量を記録するのもお勧めです。 ただし、尿酸値が特に高い人、 「腎障害」や 「高血圧」などの合併症がある人、お年寄りなどは、医師に相談してから運動を始めてください。
■ストレス解消のポイント
尿酸値を上げるようなストレス解消法を改める
高尿酸血症の患者さんは、活動的に何事も頑張りすぎる人が多く、 ストレス過多になっている傾向があります。 また、 ストレスの解消法として暴飲暴食をしたり、 テニスやバレー、サッカーなどの激しいスポーツを頑張って行っている人もよくいます。 しかし、こうした行動は、かえって尿酸値を上げてしまいます。 自分のストレス解消法を見直して、”景色を楽しみながらウォーキングをする”など、 できるだけゆったりとした方法を心がけるとよいでしょう。
■最後に
高尿酸血症の人は活発に活動する人が多いため、痛風発作があるとき以外は元気で健康そうに見え、本人もそのように思っている人が多いものです。 しかし、実際には尿酸値が高いことで体にいろいろな障害が現れますから、本当に健康であるとはいえません。 自分の体の状態を理解して、無理をせず本当に健康に過ごせるよう、尿酸値を適正に保つような生活を心がけてください。