プリン体

プリン体は、細胞内のDNAやRNAなどの「核酸」を構成する物質です。 体内の細胞が壊れると、核酸も分解されて、「プリン体」ができ、最終的には「尿酸」にまで分解されます。


■プリン体

『プリン体』とは、炭素、窒素、水素で構成された「プリン骨格」と呼ばれる化学構造を持つ物質を総称したもので、 いくつもの種類があります。 「プリン体」は、細胞内のDNAやRNAなどの「核酸」を構成する物質です。 体内の細胞が壊れると、核酸も分解されて、「プリン体」ができ、最終的には「尿酸」にまで分解されます。 一方、肉や野菜などにも細胞があり、その中には「核酸」があります。 食品のうまみ成分にもプリン体が含まれています。 そのため、食事をすれば、外からプリン体が体内に入ってきて、尿酸に分解されます。 こうして多くの尿酸ができるのですが、体内の尿酸の総量は、通常約1200mg程度で一定に保たれています。 しかし、この量を超える尿酸ができると、血液中の尿酸の濃度が高くなります。 つまり、「尿酸値」が上がるのです。 人間の体内には、尿酸を老廃物として尿中に排泄する仕組みがありますが、 排泄が間に合わないほど尿酸が多くなったり、排泄が悪くなると、尿酸値が上がるわけです。


●体を動かすエネルギー「ATP」

「プリン体」は尿酸の元になるだけに、一見悪者のように見えますが、「核酸」の構成要素であり、新しい細胞を作るときには、必要不可欠です。 また、プリン体の1つに「ATP(アデノシン3リン酸)」というものがあります。 ATPはリン酸が3つくっついた構造をしており、リン酸が1つ離れるときに、大きなエネルギーを放出します。 これが、体を動かすエネルギーとなります。 ATPは、アルコールを分解する過程でも活躍します。
このように、プリン体は人間の活動に欠かせない物質で、そのため、すべてを尿酸にまで分解してしまうわけではなく、 一部がリサイクルされる仕組みになっています。 そして、余分なものだけが分解され、「尿酸」として排泄されるのです。

◆尿酸を排泄するのは一部の動物だけ

多くの動物は、尿酸をさらに分解する「ウリカーゼ」という酵素を持っていますが、 人間やチンパンジーなどの高等生物だけが、ウリカーゼを持っていません。 なぜ人間やチンパンジーがウリカーゼを持っていないのかはまだわかっていません。 進化の過程で、分解を尿酸にまで留めておく何らかの理由があったものと思われます。 ウリカーゼを痛風の薬として利用しようとする研究もあり、欧米では成果を上げています。


●プリン体の多い食品

人間の体全体の「プリン体」の8~9割は、体内で合成されたものだと考えられています。 食べ物から摂取されるプリン体はそれほど多くはないので、通常の食事なら、それほど神経質になる必要はありません。 プリン体を極端に気にして、栄養失調になってしまった例もあります。 しかし、プリン体が極めて多い食品の食べ過ぎには注意が必要です。 プリン体の多い白子をビールと一緒に好きなだけ摂ったら、7mg/dl程度で落ち着いていた尿酸値が10mg/dlに上がったという例もあるので、 食事の影響を侮ってはいけません。高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは 「1日に摂取するプリン体を400mgまで」としています。

◆細胞の数が多い食品はプリン体が多い

通常の食事なら、それほど神経質になる必要はありませんが、プリン体が極めて多い食品の食べ過ぎには注意が必要です。 「プリン体」は細胞の核に含まれています。したがって、細胞の数が多いレバーなどの内臓には、その分、プリン体が多く含まれています。 また、白子には大量の核酸が含まれているため、プリン体が多いのです。 プリン体はイノシン酸などのうまみ成分に含まれているので、「おいしく、こくのある」食品は、それだけプリン体が多いといえます。 一方、プリン体が少ないのは、果物や野菜などです。野菜にも細胞はありますが、割合としては水分が多く、プリン体が少ないのです。 食品に含まれるプリン体の量は、焼いたり炒めたりしてもあまり変わりません。 しかし、プリン体は水溶性なので、ゆでたり煮たりすると水に溶け出して、2~3割は減るようです。


☆☆☆ 100g中に含まれるプリン体の多い食品 ☆☆☆
 極めて多い(300mg~)   鶏レバー、真いわし干物、いさき白子、あんこう肝酒蒸し、 かつおぶし、煮干、干ししいたけ
 多い(200~300mg)  豚レバー、牛レバー、かつお、真いわし、大正えび、真あじ干物、さんま干物
☆☆☆ 主なアルコールのプリン体含有量 ☆☆☆
ビール 5.12mg
ウィスキー 0.12mg
焼酎 0.03mg
日本酒 1.12mg
ワイン 0,39mg