コンタクトレンズで目に障害

誤った使い方をすると失明に至る危険性がある

コンタクトレンズは多くの人が気軽に使用していますが、本来は医師が処方する「高度管理医療機器」の1つです。 誤った使い方をするとさまざまな障害が現れることがあり、中には失明に至る場合もあります。 こうした事態を防ぐために、コンタクトレンズは正しく使うことが大切です。


■ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズ

コンタクトレンズは角膜の表面の涙液層の上にのせて使用します。素材から2つのタイプに分けられます。

▼ハードレンズ
硬い素材でできているレンズです。直径が角膜より小さいので、装用すると、”黒目”の部分の内側に収まる状態になります。 瞬きをするときにレンズが動き、レンズと角膜の間にある涙の15~20%が入れ替わります。 それによって酸素や栄養が角膜に届けられます。

▼ソフトレンズ
軟らかい素材でできているレンズです。角膜よりも大きいので、”黒目”の外側まではみ出します。 ハードレンズに比べ装用感がよいのが特徴で、1日で使い捨てるものや、毎日外して2週間で捨てるもの、1週間連続装用できるものなど、 さまざまなタイプがあります。角膜全体を覆っているため、瞬きをしてもレンズがあまり動かず、レンズと角膜の間の涙は1%ほどしか入れ替わりません。 ただし、素材自体は、角膜に障害が起こらない程度の酸素を供給できるように作られています。

どちらのレンズも使い方を誤ると、角膜が酸素不足になり、傷ついたり、感染しやすくなります。 また、目に異常が起きても気付きにくく、知らないうちに悪化することもあります。

■コンタクトレンズが触れる角膜などにさまざまな障害が起こる

角膜は3層構造になっていて、外側から角膜上皮細胞、角膜実質、そして最も内側に角膜内皮細胞の層があります(下写真参照)。 コンタクトレンズの使い方に問題があると、これらの部分などに障害が起こってしまいます。

▼角膜上皮障害
レンズに付着した汚れや酸素不足などにより、角膜上皮細胞に傷が付きます。初期には症状は軽く、気付かない人もいます。1

▼点状表層角膜症
角膜上皮細胞の表面に細かい点状の傷が付きます。角膜上皮細胞は常に入れ替わるので、多くの場合、数日で治りますが、 適切な対応をしないと慢性化し、角膜上皮細胞の持つバリア機能が破壊されて感染症が起こりやすくなります。

▼角膜潰瘍
角膜上皮細胞を越え、角膜実質まで感染が広がった状態で、痛み、充血、視力低下などを伴います。 症状が重く、特に緑膿菌などの細菌や、土や水道水の中にいることがあるアカントアメーバなどに感染した場合は大変危険です。 治療が遅れると、治った後も視力に影響が出たり、角膜が凹凸になってコンタクトレンズの装用が難しくなったりします。 重症の場合には、失明に至ることもあります。

▼角膜内皮細胞障害
角膜が酸素不足に陥り、角膜内皮細胞が減ってしまいます。初期には自覚症状はありません。 コンタクトレンズによる発症頻度は高くはないものの、一度失われた角膜内皮細胞は元には戻らず、大幅に減ると失明に繋がります。

▼巨大乳頭結膜炎
レンズに付着した汚れによるアレルギー性結膜炎が、摩擦によって重症化したものです。 上瞼の裏側に大きなブツブツとした乳頭ができます。

コンタクトレンズの誤った使い方で起こる目の障害

コンタクトレンズの危険な使い方


■眼科で定期的に検査し、処方を受けて、購入する

目に起こる障害を防ぐには、眼科でコンタクトレンズの処方を受け、定期的に検査を受けることが勧められます。 インターネットなどで購入し、つい検査を怠ってしまう人もいますが、安全のためには3~6ヵ月に1回受診するのが望ましいとされています。 また、目の調子が悪いと感じたらすぐに使用を中止します。特に高齢者は涙の分泌が減っているため、無理のない使用を心がけます。 そして、いつでもコンタクトレンズを外せるように眼鏡を持ち歩く習慣をつけておきましょう。