便秘症
『便秘症』は、便が大腸内に滞り排便が困難になる症状です。 便が正常に排出されるためには、腸の蠕動運動と水分吸収のバランスがとれ、直腸と肛門の動きがうまく強調していることが不可欠です。 これらのいずれかに不調を来すと便秘になります。 便秘の種類には、大腸やその周辺の病気によって便の通り道が狭められるために起こる「器質性便秘」と 腸の働きが悪くなったために起こる「機能性便秘」の2種類のタイプがあります。 便秘は 脳梗塞・ 脳溢血・ 心筋梗塞などの循環器系疾患や アトピー性皮膚炎・ 気管支喘息などのアレルギー疾患、 膠原病 (関節リウマチなど)・ 関節痛・筋肉痛・皮膚硬化、 大腸癌などさまざまな病気の発症に関係しているといわれています。
■便秘症とは?
便秘には2種類ある
「便の出が悪い」「便が硬い」「便が残っている感じがする(すっきりしない)」といった、便通に不快感を感じる状態を「便秘」といい、 便秘の種類には、大腸やその周辺の病気によって便の通り道が狭められるために起こる「器質性便秘」と 腸の働きが悪くなったために起こる「機能性便秘」の2種類のタイプがあります。
- ▼器質性便秘
-
便秘のほとんどは生活習慣が原因ですが、重大な病気から起こることもあります。
例えば、腫瘍などで大腸が塞がったり、大腸に起こった炎症で大腸の一部が狭くなって(狭窄)、便通が悪くなることがあります。
大腸癌、
潰瘍性大腸炎、
大腸ポリープ、
子宮筋腫、腹部の手術、先天的な腸の病気も原因になります。
このような大腸やその周辺の異常から起こる便秘を「器質性便秘」といい、器質性便秘の改善には、医療機関での治療が必要です。
「たまにしか起こらなかったのに便秘を繰り返すようになった」
「便秘と下痢を繰り返すようになった」
「便に赤い血が混じる」
といった場合には、器質性便秘の可能性があるので、すぐに消化器内科などを受診してください。 治療は、原因となっている病気の治療を行うこととともに便秘薬や漢方薬を使用します。 - ▼機能性便秘
- 便秘のそのほとんどが、日常生活が関係して起こる「機能性便秘」です。 弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘があります。 機能性便秘は、腸の働きが低下して起こります。機能性便秘の「診断基準」のなかには、「排便回数が週に3回未満」という項目がありますが、 この項目に当てはまっても本人が便通に不快を感じていなければ問題はありません。 逆に週に3回以上排便があっても、便通に不快感があれば便秘といえます。 機能性便秘の改善には、生活習慣を改善することが重要です。
日常的に悩まされる常習性の便秘のほとんどは「機能性便秘」で、機能性便秘は、 大きく「弛緩性便秘」と「痙攣性便秘」「直腸性便秘」に分けることができます。
- ▼弛緩性便秘
- 弛緩性便秘は、大腸の緊張が緩んで蠕動運動が弱くなり、便がうまく運ばれないために起こります。 食事量の少ない人、 胃潰瘍や高血圧の治療薬、下剤を常用している人、特に高齢者に多く見られます。
- ▼痙攣性便秘
- 過敏性腸症候群に代表される痙攣性便秘は、腸の緊張が原因です。 大腸の蠕動運動が強すぎて、痙攣するように締まったり、腸管がくびれて狭くなったりして、便の通過が妨げられるために起こります。 若い人に多いタイプです。
- ▼直腸性便秘
- 直腸性便秘は排便を我慢する習慣や薬の副作用で起こります。
ただし、「弛緩性便秘」「痙攣性便秘」「直腸性便秘」を客観的に調べ判別する方法はありません。 また、精神的なストレスによって便通異常や腹痛などが起こる過敏性腸症候群でも、 症状として便秘だけが現れる場合もあり、単なる便秘と区別がつきません。 治療は、弛緩性・痙攣性便秘は、食物繊維や果物、水分を意識して摂ることと、適度な運動、朝食後にトイレに行く習慣を付けることで改善されます。 直腸性便秘は、浣腸や下痢で、排便をコントロールします。
■機能性便秘の原因
食物繊維の不足などで腸の働きが悪くなって便通が悪くなる
機能性便秘の多くは、次のような生活習慣が原因です。
- ▼食物繊維の摂取不足
- 便を形作る食物繊維が不足すると、便ができにくくなり、便通が悪くなります。
- ▼朝食を抜く
- 食べ物が胃に入ると、その刺激が脳に伝わり、腸の運動を促す指令が出されます。 この指令は特に朝に強く出るため、朝食を抜くと便意が起こりにくくなります。
- ▼不規則な食事
- 食事を摂る時間が不規則だと、胃腸の働きをつかさどる「自律神経」に影響が出て、腸の働きが乱れやすくなり、便通が悪くなります。
- ▼運動不足
- 運動不足だと、便を外に押し出す腹筋が弱くなったり、大腸の働きが低下し、便通が悪くなります。
- ▼トイレに行くのを我慢する
- 排便を我慢していると、便意を感じにくくなってしまいます。
- ▼ストレス
- 過度なストレスは自律神経の働きを低下させ、便通を悪くします。
■宿便は万病の元
腸内にこびり付いた「宿便」は、腸内細菌が出す酵素によって分解・吸収されますが、 宿便は次々に作られるので腸内細菌による処理能力が追いつかず、腸内には常に宿便が溜まっている状態が継続します。 しかも、宿便は異常発酵(腐敗)して、それが腸壁の血管から体内へ吸収され、全身に回ります。 当然、発酵・腐敗する過程で作られた毒素も体内に吸収され、 それによって、 頭痛・ 肩こり・ めまい・倦怠感などの不定愁訴が引き起こされることになります。 さらには、宿便は 脳梗塞・ 脳溢血・ 心筋梗塞などの循環器系疾患や アトピー性皮膚炎・ 気管支喘息などのアレルギー疾患、 膠原病 (関節リウマチなど)・ 関節痛・筋肉痛・皮膚硬化、 大腸癌などさまざまな病気の発症に関係しているといわれています。
【腹部膨満感】
腹部の膨満感は、一般的には「お腹が張ったような感じ」「お腹が重い感じ」などと表現されます。
腹水が溜まっていたり、腹腔内に炎症や腫瘍があるとき、妊娠しているときも膨満感を感じますが、多くは、消化管にガスが溜まっていたり、
胃の運動機能が低下することで起こります。
消化管にガスが溜まる原因は、ガスの排出が十分でないことです。ガスの過産生は、緊張によって空気を飲み込んでしまう呑気症や自律神経の異常、
腸内に悪玉菌が増えたことによる腸内の異常発酵によって起こります。
消化管の運動が不足しているときや腸粘膜に炎症を起こしているとき、循環障害を起こしているときも、ガスが体内に吸収され、
排出されないので膨満感を感じます。ストレスや不安、イライラを解消し、ゆったりした気持ちで暮らすことで膨満感が消えることはよくあります。