快便術②ツボ療法「合谷、手の三里」

押せばすぐに便意出現!大腸が活性化し便秘や下痢によく効く『合谷』刺激。


■手のツボ刺激の作用が肛門まで及ぶ

東洋医学では、私たちの体には、生命エネルギーである「気」が巡っていると考えられています。 その気の通り道が「経絡」で、人間には14本の経絡が走っています。 経絡の流れがスムーズであれば健康ですが、経絡の流れが滞ると、さまざまな病気を招くことになるのです。 また、経絡上にあるツボの数は、全身で670に及ぶと言われています。 病気になった時に、ツボを刺激することで、悪くなっていた経絡の流れがスムーズになり、症状がよくなるのです。

便秘や下痢の場合は、手の大腸経上にあるツボを刺激するといいでしょう。 大腸経は、上行結腸から直腸までの活動を調整したり、支配したりしている、自律神経に深いかかわりを持つ経路です。 この大腸経にあるツボの中で、一番お勧めなのが「合谷」というツボです。 合谷は、手の親指と人差し指の骨の合わさる谷間の、やや人差し指寄りにあります。 そのあたりを反対の親指で押して、ジーンとくる場所が合谷です。 合谷は、気が集まる原穴とされ、万能ツボとしてよく治療に用いられます。 そして、ここを刺激すると、肛門にその作用が及び、大腸が活性化され、便秘や下痢によく効くのです。 やり方は次の通りです。

  • ①左右どちらかの合谷に、反対の親指の腹を当てて押します。残りの4本の指は手のひら側に添えます。
  • ②3秒押して、1秒休み、また3秒押してください。これを4~5回繰り返しましょう。 反対側も同様に行います。

大切なのは、気持ちよく感じる程度の力で押すことです。あまり強く押し過ぎて痛くなるのは、逆効果です。 通常の便秘であれば、基本的に合谷を押すだけで結構です。ここを押してすぐに便意を催す人も、少なくなりません。 ただし、長時間に及ぶ便秘の方には、腸の調子を改善するツボをもう一つご紹介します。 それが、同じ大腸経のツボである「手の三里」です。手の三里のツボは、肘の内側のシワの一番外側にある 「曲池」というツボから、指3本分ほど手首側にあります。 左右どちらかの手の三里を反対側の親指で5秒ほど押していきます。これを5回ほど繰り返すといいでしょう。 合谷や手の三里は、いつまでもどこでも刺激しやすい、とても便利なツボです。 ところで、便秘になる原因はいろいろあります。その一つが、小腸に水が溜まることです。 小腸に水が溜まると、腸閉塞のような状態になってしまうのです。 そこで、小腸経の経路の流れを促し、小腸の働きをよくすることで、それを解消できます。 小腸経の経路は、手の小指から肘関節を通って、肩の方へと伸びています。 この場合、小指から肘にかけてを、反対の手で撫でたり、さすったり、揉んだりしましょう。 この経路への刺激が、肩や首のコリに改善につながります。


●内臓が原因で起こる症状にも有効!

また、便秘は腸だけでなく、他の臓器の影響で起こる場合もあるのです。 ちなみに、東洋医学では、人間の内臓は、互いに影響し合っていると考えられています。 手には、内臓に通ずる経路が走っているので、手首をブラブラ振ったり、指をよく動かしたりすることで、 経路上にある沢山のツボを刺激できるのです。その刺激が、腸の働きだけでなく、内臓が原因で起こる、 あらゆる症状にとても有効なのです。 そのほかに、お腹の冷えも便秘を招く一因です。そこで、おへその少し下辺りにある「丹田」を温めると、 体全体が温まり、それが便秘の改善をもたらします。その簡単な方法として、丹田の位置に服の上から 使い捨てカイロを貼るのがお勧めです。

ところで、腸の働きを高めるには、食事に留意することも忘れてはいけません。 詰めたいものを食べると、腸が働きにくくなるので、なるべく温かいものを食べるように心掛けてください。 トウガラシやショウガなど、腸を刺激する食べ物も体を温めてくれます。 そして、快便を促すには、食物繊維の摂取が不可欠です。 規則的でスムーズな排便には、便にある程度のボリュームが必要です。 ボリュームがあることで、腸が刺激されて、便意が生じて排泄できるからです。 従って、食物繊維の豊富な温野菜を、毎日たくさん摂取することも心がけたいものです。