快便術①ツボ療法「神門、陰げき、通里、霊道」

息むな危険!トイレ脳卒中を防ぎスルリ排便! ここでは、東洋医学の『ツボ療法』の「神門、陰げき、通里、霊道」のツボを用いた快便術を紹介します。


■「単なる便秘」が命に関わることもある

先日、30歳代の男性がが朝トイレで倒れたと言って、病院へ行ったそうです。 検査の結果、その方は瞬間的に血圧が急上昇するタイプだとわかりました。 もともとの体質に加え、トイレで息んだことで血圧が上がり、めまいを起こしたのでしょう。 このように、高齢者だけでなく、若い人でもトイレで倒れることがあります。 風呂場で、脳出血や脳梗塞を起こしやすいことはよく知られていますが、実はトイレでの事故も非常に多いのです。 朝、排便のためにトイレに入ったものの、スムーズに便が出ずに息むと、血圧が上がります。 冒頭の男性のように、一時的なふらつきで治まればいいのですが、脳の血管に異常が起こったら命に関わります。 つまり、便が固まり、息まないと出ない状態は、「単なる便秘」では済まされないのです。 そのような状態になる前に手を打つ必要があります。 そこで、ここでは、東洋医学の見地から便秘の治療法を紹介していきましょう

東洋医学はできるだけ薬を使わず、患者さんの負担を減らすことを優先します。 その中の一つが『ツボ療法』です。 治療では針を使いますが、患者さんが自己療法として日常的に実践できるように、手でツボを刺激する方法を考え、お勧めします。 今回ご紹介するのは、トイレで行うツボ刺激療法です。簡単で効果が高いので、ぜひ毎日の習慣にしてください。 洋式トイレを使用する方は、便座に腰かけてから行うといいでしょう。和式トイレの方は、トイレに入る前に、 楽な姿勢で行ってください。

まず、手のひらを見てください。手のひらと手首の間に、横ジワがあります。 この横ジワの下、小指寄りの辺りに、スムーズな排便を促す特効ツボが密集しています。 このエリアに、反対側の手の人差し指・中指・薬指を手首に当てて、こすってください。 「気持ちいい」と感じる程度の強さなら、縦にこすっても横にこすってもかまいません。


●心身が休まって、消化器が動き出す

なぜ、これらのツボをこすることで、お通じがスムーズになるのでしょうか。
左の図を見てください。手首の内側(手のひら側)の小指寄りには、神門、陰げき、通里、霊道 というツボが並んでいます。これらのツボは、いずれも心臓病の特効ツボとして知られています。 特に神門は、「神が出入りする重要な門」という意味を持ち、精神活動のバランスを取るツボとされます。 イライラしているときや、興奮状態のとき、極度の緊張に見舞われたときなどに、このツボを刺激すると気持ちが穏やかになるのです。 心臓に負担がかかった状態のときや、イライラしているときは、血圧が高くなっています。 それが解消すれば、当然、血圧も下がります。つまり、手首のツボを刺激すると、副交感神経が優位になるのです。 心身が休息モードになり、消化器の動きが活発になって便意を催し、肛門括約筋が緩みます。つまり、排便がしやすくなるのです。

副交感神経とは、内臓や血管を調整する自律神経のうち、体をリラックスさせるために働く神経です。 体を活動的にするときには、交感神経が優位になります。これら2つの神経がバランスを取り合って、 私たちの生命活動が維持されています。 交感神経は、別名「逃走神経」と言われ、本来は、敵から逃げたり、敵と闘ったりするときに、短時間働くものです。 逃走時、闘争時は、排便や飲食、睡眠などをしなくて済むように内臓や血管が調整されます。 短時間なら、生命活動に支障はないわけです。 ところが現代人は、常に緊張を強いられ、仕事に追われ、交感神経が長時間働いています。 便秘や食欲不振、不眠に悩む人が多いのは、そのせいでしょう。夜の休憩時間になっても、交感神経が優位なままで、 体が休まらないのです。 働き方や生活習慣を変えるのが一番の解決法ですが、とりあえず自律神経の状態を正常にするために、ツボ療法を利用しましょう。

以前、ある小学生が「うちのおじいちゃんは、トイレで拝んでいます」と作文に書いたそうです。 ある医師は、この話を聞いて「このおじいさんは、便秘だな」とピンときたそうです。 手を擦り合せることで、手のひらにある労宮というツボと、「少府」というツボを刺激することができます。 労宮は、血流をよくする効果があり、少府はイライラを鎮める特効ツボです。 手首のツボと併せて刺激することで、副交感神経が優位になり、スムーズな排便につながります。 便秘がちな人、息まないと排便できない人は、トイレで1分ほど拝んでみてください。 手を上下に大きくこすり合せると、手首のツボまで刺激できます。お試しください。